OnebyESU ジェイカーボン グランモンローSL
信頼と実績の東京サンエス ワンバイエスが送る、凝りに凝って作り込まれたギミック満載の高級カーボンハンドル。エクタープロトンに続き2本目の導入。つまり、超お気に入りです。
剛性を高めたり、エアロ性能を追求したりといったレーススペック方面での高級ハンドルは世に数あれど、ロングライドにおける快適性をここまで突き詰めたハンドルは他にないんじゃないか。
「快適なハンドルバー」を実現するために、物理的に曲げたり削いだり彫ったり潰したり、ありとあらゆる手を尽くした東京サンエスの本気が垣間見える逸品です。
基本スペック
・カラー:マットUD
・カーボンモノコック
・バークランプ径:31.8mm
・サイズ:SS(360/380mm)・S(380/400mm) / M(400/420mm)・L(420/440mm)
・ドロップ:115/120mm
・リーチ:63/68mm
・重量:195g(SS)
・価格 : ¥31,600
カタチが凄い
このハンドルの凄いところは「特殊なカーボン素材が振動を〇〇%減!!」みたいな胡散臭い能書きじゃなくて、目で見て手で触ってわかるカタチで勝負してるところ。
・ドロップアーチのフラット形状
一番気に入ってるのが独特な下ハンの形状。下ハンのちょうど掌があたる部分を、通常の丸いパイプではなく円の外側を削るように平面部を設けてあります。
この角度がまた絶妙で、ブラケットから下ろした手の腹の部分をしっかりとホールドしてくれて握り心地がとんでもなく良い。
自分はライド中98%ほどがブラケットポジションで、下ハンなんて精々向かい風の時に「やむを得ず」握るところだったけど、このハンドルに変えてからはむしろ積極的に下ハンを持ちたくなるほど。
バーテープを装着した状態だとほとんど目立ちませんが、握り心地は歴然。
自分はこの平面部の恩恵を極力スポイルしないように薄めのバーテープを合わせています。
・20mmのフレア
このドロップ部の握り心地の良さにはもう一つ秘密があって、実はこのハンドル、ブラケット位置とドロップ部末端で長さが異なるフレアハンドルなんです。それもよくあるハの字型の末広がりではなく、ドロップ部の途中からそれぞれ10mmだけ外側に曲げられ、下ハンの末端ではまたまっすぐに戻るという特殊形状。
赤丸のところ、よく見ればわずかに歪んでいる。
この僅かな歪みと広がりが先のフラット形状と合わさって絶妙な握り心地を演出しています。
こればっかりはもう観てるだけじゃわからないから、どこかお店で手にとってみてほしい。思わず声が出るほど素晴らしい。
・フィットゾーン
これもひと目で分かるユニークポイント。
フィットゾーンと名付けられたこの構造はブレーキレバーとハンドルバーの間のスペースを広げ、ブラケットポジションを握った際に小指まで無理なく収める事ができるようになっていて
ご覧の通り、巡航時などの人差し指のみブレーキレバーにかけた状態でも、残り三本の指が重なることなくハンドルバーとの間に収まっています。
わずか数ミリの違いだけど、しっかり小指までブラケットをホールドできて安定感が凄い。
小指と薬指への圧迫も確実に減っているので、ロングライドでの痺れ対策にも確実に繋がります。
・上ハン5mmライズ&バック
少しわかりにくいけど、中心から両端にかけて僅かに傾斜が付けられてブラケット部で+5mm高くなってる。さらに…
上から見た図。
こちらもリーチがステムの中心から5mm手前にオフセットされるようわずかベンドしています。
なのでハンドルバーの実寸としてはリーチが68mm、ドロップが120mmですが、自転車に組み付けた際の実質的な数値はリーチ63mm、ドロップ115mmということになります。
これはコンパクトなジェイカーボンシリーズの中でもトップクラスに短い数値。
交換の際、ポジションによってはステムの変更が必要になるかもしれないので要注意。
もし次自分がロードをオーダーするならこのハンドルバーを基準にジオメトリを詰めていくことになると思う。
・ケーブルルーティング
扁平状の上ハン裏にはアウターケーブルを収めるスリットが中央部まで抉られてる
前から見たときの収まりの良さに一役買ってます。
・重量
公称はSSサイズ(360/380)で194g。私が購入したのは2本ともLサイズ(420/440)でしたが、気になる結果は…
218gと208g
10gの差がありましたが、十分軽量な部類だと思います。
使用感
実際にロングライドメインのエクタープロトンで2年ちょっと1万キロほど使った結果、オンロードでのドロップハンドルはもうこれ以外考えられないくらい気に入っています。振動吸収性
ブラケットポジションでも下ハンでも、路面からの振動吸収能力はかなり高い印象。上ハンの扁平形状が縦方向の適度な撓りを生んでいるのか、荒れた路面でもすこぶる快適。フィットゾーンやドロップ平面部の恩恵でハンドルバーと手の接地面積が広く、突き上げや衝撃を分散できるので手や指への負担が最小限で済むところが本当に良く出来てる。
荒れた舗装や砂利道でも地味ながら確実に疲労をセーブしてくれているはず。
「ロードライド」の8割強で未舗装路に遭遇する星の下に生まれてしまってな…
剛性
振動吸収性の裏返しとして、剛性はそれほど高くない、むしろかなり柔いタイプのハンドルです。体重をかければはっきり撓るし、下ハンでもがくと推進力に変わるまでの「溜め」も割と強めにあるので、スプリントの加速性や登板でもがくヒルクライム用途としては頼りないと思います。
私の友人たちにも軽く触ってもらいましたが、剛性高めが好みのどんちゃんは「軟すぎる」との評。
一方でロングライダーのモリビトさんには好評で、彼の新車にも導入されたそうです。
柔く・快適に、というキャラがはっきりしていて、あくまで長距離・長時間を快適に走るための性能にステ割り振って振り切ったロングライド特化ハンドルというのが個人的な印象です。
あとがき
お値段およそ3万円。レース用でもないロングライドマシンに導入するハンドルバーとしてはかなり高価な部類だと思うけど、価格を補って余りあるだけの工夫が詰まった傑作。
欠点としては一度手を染めると他のドロップハンドルが使えなくなることかな。
エクターとDEFYのグランモンローSL、そしてJARIのバンディー2と、気がつけば愛車のドロップハンドルはすべて東京サンエスで揃ってしまった。
これからもお世話になります。
おしまい
【ブログ更新】
— やくも (@wartori621) May 18, 2021
全てのロングライダーに一度は試してもらいたい、マジでオススメのカーボンハンドル。
曲げて凹ませ歪めて削って、快適性のために出来ることを素材ではなく「カタチ」で実現した、東京サンエスの本気が垣間見える逸品。めっちゃええぞ…https://t.co/ZVaVA4Dnve
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