昨年ごろから観測範囲のヘッドホン界隈でよく話題に上がっていたスロベニアのOLLO AUDIOのモニターヘッドホン、X1。受注販売でロット待ちになるほどの人気っぷりで、年度末の物欲爆発季にうっかり購入してしばらく使ってみたが、確かにこいつはなんというか、これまで自分が使ってきたものと比較してもレベルの違う唯一無二の聴こえ方がしているので、ここまでの感想をまとめてみる。

大きめのキャリングケースに入って到着。
アメリカン・ウォルナットで縁取られたハウジングにバックは金属プレートで大半は覆われている半開放型。
サイズ調整はよくあるスライダーで固定位置を変える方式ではなく、調整不要で頭につければサポート部がゴムで伸びる形式。
イヤーパッドは真円形のベロア調。大きさ深さともに十分で側圧も適度。夏は少し暑いが着け心地は悪くない。
ただ、本体のR/L表記が内側のヘッドバンドの見えづらい位置に書いてあるのでぱっと見では判別し難い。
そのためマイナーチェンジでケーブル付け根の色が変わってそこで判断できるようになったらしいが、このケーブルはミニプラグの着脱式でリケーブル可能なものだけど、個人的には色は派手すぎるし質感も安っぽくてイマイチ気に入らない。
というか、ヘッドバンド周りの作りとかも安っぽくて全体的な造形としてはあまり好みじゃない。そもそもヘッドホンにわざわざ木とか使わんでええねん、という気持ちも少しあったりする。(その点ゼンハイザーとかベイヤーのデザインはホント好き)
なんでも一台一台個体別に周波数特性が測定されているそうで、専用ソフトと連携させることでキャリブレーションして個体差を均すことができるそう。
各ユニットは個別にテストされ、AIを用いたキャリブレーションが施されることにより、素材や音響公差による周波数特性の偏差を修正し、精密な音質を実現しているとかなんとか。
…でもその場合の「フラット」て、聴く側の人間にとってはそれほど意味がないというか、製作者とリスナーが両方揃ってこのX1を使って初めて効力を発揮するものなのでは…?と思うので、個人的にはあまり重要視していない。おれが好きならそれでええねん。
が、このX1は別次元…というか、なにか一つ次元が多いような、かなり不思議な鳴り方をする。
解像度はめちゃくちゃ高い。高いけど、これまで使っていた「解像度」の定義にはなかった、なにか別のベクトルがある。立体的ということでもなくて、もっと「階層的」というのか、それぞれの音のレイヤーまでが把握できるような鳴り方。
特にボーカルにかかってるエフェクトやリバーブが別の「層」として肉声の上に重ねられている様子がはっきりと見える。「どこで音が鳴っているか」の情報に加えて、その音が「どのように重ねられているか」までがなんとなく把握できるような、そんな鳴り方。
なのでこれまでの「高解像度」なヘッドホンで散々聴いてきた曲でも「こんな音の鳴らし方しとったんかワレ…!!」 みたいな再発見があってとてもおもしろい。こんな体験久しぶりだ。
あとそもそもボーカルあたり中域の表現がめちゃくちゃ上手い。男声も女声もハリのある喉から出た音がダイレクトに聴こえてる感じがある。男女ツインボーカルのハンバートハンバートならそれぞれの声質もちゃんと聴こえて、ハモリも音の重なり方の推移みたいなのがずっと終えるし、同時にピアノは鳴ってる空間とか打鍵音もちゃんとバックに広がってて、シンプルな歌でも情報量がめちゃくちゃ多い。
逆にカニエ・ウェストのようにそもそもの情報量てんこ盛りみたいな曲を効くと、今度は細かい音一つ一つを剥がして聴くような楽しみがあって、それはそれでおもしろく全然飽きない。これはなかなかいいおもちゃを手に入れた。
ぱっと聴きの音楽的な楽しさで言えばDT770PRO Xとかのほうが上だと思うけど、でも「分析的でつまらない」と断じるには余りある情報量の洪水が体験できるので、これはこれでありありのあり。いいおもちゃが手に入った。
良いお値段するけど最近は要約供給も追いついてきたみたいなので、気になる人は是非試してみてはどないでしょうか。
https://abendrot-int.co.jp/olloaudio/x1/
![]() |
翌日配達 OLLO AUDIO 【プリオーダー優待版 2025】X1 (オーロ・オーディオ)(在庫あり・完売の際は次回入荷9月上旬予約) 価格:94600円 |
外観と装着感

大きめのキャリングケースに入って到着。

アメリカン・ウォルナットで縁取られたハウジングにバックは金属プレートで大半は覆われている半開放型。

サイズ調整はよくあるスライダーで固定位置を変える方式ではなく、調整不要で頭につければサポート部がゴムで伸びる形式。

イヤーパッドは真円形のベロア調。大きさ深さともに十分で側圧も適度。夏は少し暑いが着け心地は悪くない。
ただ、本体のR/L表記が内側のヘッドバンドの見えづらい位置に書いてあるのでぱっと見では判別し難い。

そのためマイナーチェンジでケーブル付け根の色が変わってそこで判断できるようになったらしいが、このケーブルはミニプラグの着脱式でリケーブル可能なものだけど、個人的には色は派手すぎるし質感も安っぽくてイマイチ気に入らない。
というか、ヘッドバンド周りの作りとかも安っぽくて全体的な造形としてはあまり好みじゃない。そもそもヘッドホンにわざわざ木とか使わんでええねん、という気持ちも少しあったりする。(その点ゼンハイザーとかベイヤーのデザインはホント好き)
個体別キャリブレーションについて
このX1はそもそもマスタリングやサンプリングを生業とするエンジニアに向けて作られた道具としての側面が強く、とにかく音のフラットさを何より重視して作られたらしい。
なんでも一台一台個体別に周波数特性が測定されているそうで、専用ソフトと連携させることでキャリブレーションして個体差を均すことができるそう。
各ユニットは個別にテストされ、AIを用いたキャリブレーションが施されることにより、素材や音響公差による周波数特性の偏差を修正し、精密な音質を実現しているとかなんとか。
…でもその場合の「フラット」て、聴く側の人間にとってはそれほど意味がないというか、製作者とリスナーが両方揃ってこのX1を使って初めて効力を発揮するものなのでは…?と思うので、個人的にはあまり重要視していない。おれが好きならそれでええねん。
音質
今までモニター用の解像度重視のヘッドホンはたくさん使ってきた。SONY MDR-Z1000とか、最近だと気に入らずに手放したSHURE SRH1840なんかも、「どこで何が鳴っているか」という意味での分離性能ではこのX1に引けを取らない。が、このX1は別次元…というか、なにか一つ次元が多いような、かなり不思議な鳴り方をする。

解像度はめちゃくちゃ高い。高いけど、これまで使っていた「解像度」の定義にはなかった、なにか別のベクトルがある。立体的ということでもなくて、もっと「階層的」というのか、それぞれの音のレイヤーまでが把握できるような鳴り方。
特にボーカルにかかってるエフェクトやリバーブが別の「層」として肉声の上に重ねられている様子がはっきりと見える。「どこで音が鳴っているか」の情報に加えて、その音が「どのように重ねられているか」までがなんとなく把握できるような、そんな鳴り方。
なのでこれまでの「高解像度」なヘッドホンで散々聴いてきた曲でも「こんな音の鳴らし方しとったんかワレ…!!」 みたいな再発見があってとてもおもしろい。こんな体験久しぶりだ。
あとそもそもボーカルあたり中域の表現がめちゃくちゃ上手い。男声も女声もハリのある喉から出た音がダイレクトに聴こえてる感じがある。男女ツインボーカルのハンバートハンバートならそれぞれの声質もちゃんと聴こえて、ハモリも音の重なり方の推移みたいなのがずっと終えるし、同時にピアノは鳴ってる空間とか打鍵音もちゃんとバックに広がってて、シンプルな歌でも情報量がめちゃくちゃ多い。
逆にカニエ・ウェストのようにそもそもの情報量てんこ盛りみたいな曲を効くと、今度は細かい音一つ一つを剥がして聴くような楽しみがあって、それはそれでおもしろく全然飽きない。これはなかなかいいおもちゃを手に入れた。
ぱっと聴きの音楽的な楽しさで言えばDT770PRO Xとかのほうが上だと思うけど、でも「分析的でつまらない」と断じるには余りある情報量の洪水が体験できるので、これはこれでありありのあり。いいおもちゃが手に入った。
あとがき
自分は音楽の知識もないし、楽器に詳しいわけでもなければマスタリングとかミキシングとかそういったことはさっぱりだけど、たぶんこのX1の魅力をちゃんと伝えようと思ったら制作者側のボキャブラリーが無いと難しいのかもしれない。たぶん自分で曲作りする人ならもっと感動するんちゃうかな。良いお値段するけど最近は要約供給も追いついてきたみたいなので、気になる人は是非試してみてはどないでしょうか。
![]() |
翌日配達 OLLO AUDIO 【プリオーダー優待版 2025】X1 (オーロ・オーディオ)(在庫あり・完売の際は次回入荷9月上旬予約) 価格:94600円 |

コメント