【パナチタン】Panasonic FRTD04 チタンディスクロード 【58台目】

自転車図鑑

山城方面に100km程のサイクリングへ。犬打峠を下っていると一人のサイクリストに追いついたのですが、その自転車が追い抜きざまに一瞥しただけで只事じゃないオーラを放っていたのでいきおいでお声がけさせてもらいました。

Panasonic FRTD04 チタンディスクロード

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Panasonicのオーダーフレームには所謂「パナモリ」ともう一つ、チタンフレームの展開もあります。
このFRTD04はそんなパナチタンの中でもエンデュランスロードとしてラインナップされているモデル。チタンロードというだけでも憧れですが、それどころじゃない並外れたアイデアと工夫の詰まった一台。

ご自身のブログ「ランドナー復活」で詳細も書かれているのでそちらも必見です。

フレーム : 3AL2.5V チタン合金チューブ Di2仕様

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チタン独特のシルバーに輝く佇まいが目を引く。

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特にこの後姿、すっと伸びるシートステーがとてもいい。

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ダウンチューブはカイセイのギガエアロのように扁平な上端から徐々に丸く潰れていく凝った形状。ブレーキホースが内装されています。

オプションのDi2専用加工フレームなのでアウター受けの台座がないのもポイント。

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BB周りもきらめきマシマシ。後で詳しく紹介しますが、コッタレスクランクの切り欠きBBがクラシカルというだけじゃないかっこよさを醸し出してる。

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最新の12速Di2アルテグラ。シートポストに内蔵されたバッテリーからチェーンステーを通ってケーブルが伸びるセミワイヤレス。このケーブル出口の有機的な形状もすごくいい。

 

フォーク : Ritchey WCS CARBON ADVENTURE GRAVEL FORK

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フォークにはリッチーのグラベルロード用カーボンフォークをアッセンブル。サイドに3つのダボ穴で積載性もよく、クリアランスも広いので泥除けの取り付けも容易。

赤い小さな反射板はダボ穴にネジで止まっています。工具箱に入っていた古いものらしいけど、サイドからの視認性も上がるし普通に欲しい。あまり類似品を見たこと無いけど、今でも手に入るのだろうか。

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泥除け用のダボもあって汎用性が高い。

 

クランク : TA CYCLOTOURIST シクロツーリスト 改 (12速Di2対応ver.)

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さあ、このクランクが一番凄いぞ。

フランス製のTA シクロツーリストクランク。数十年前オーナーさんが学生時代に乗られていたランドナーで使われていた歴史ある逸品。

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歯数は42-26Tでゆったりコンパクトに。

ん…?でもちょっと待てよ?

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上述の通りこの自転車、メインコンポはシマノの最新12速Di2で組まれています。

かたやTAクランクは5速や6速をダブルレバーで引いていたような時代の代物。互換性がどうとかいうレベルじゃない時代の隔たりがある。普通に考えてつくはずがないけど、この自転車は現に目の前で走っている。

 

クラシッククランクのDi2化加工

一体何をどうやったら数十年のタイムリープちゃんぽんが実現できるのか。その工夫がすごかった。

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まずはチェーンリング。

最近のクランクはチェーンがスムーズに上下するよう歯が切り欠いてあるのですが、TAクランクにはそれがありません。

そこでオーナーさんは自ら一部の歯をヤスリで削り、アウターとインナーがうまくつながるよう変速ポイントを設定。

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加えてアウターリングにドリルで穴を開けて内側にリベット(鋲)が打ち込まれています。写真ではわかりにくいけど8時方向のチェーン際にある丸い突起がそれ。

<追記修正>さらに12速化で細くなったチェーンが隙間に落ちるのを防ぐために、プラスチックものさしを切って間に挟んであるそうです。

そしてチェーンラインも問題。11sまでのDi2は物理ネジで変速の幅をある程度調整できたけど、最新の12速からはそのネジもなくなり、アプリを介して僅かな幅しか調整が効かなくなってしまいました。

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そこでコッタレスクランクのBBをトリプル用のシャフトの長いものを用いてチェーンラインを合わせ、なんとかDi2フロントディレイラーの調整幅の中に収まるようになったそう。

また、当時の自転車はエンド幅が120mmや126mmが主流でしたが、変速数の増加とスルーアクスル化に伴って142mmにまで幅が広がった結果…

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チェーンステーとクランクのクリアランスはミリ単位のギリギリ!

並外れたアイデアとセッティングの妙で薄氷のバランスの上に成り立つパーツアッセンブルに執念すら感じる。凄い。
 

泥除け : Honjo 本所工研

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個人的に泥除けってあらゆるパーツの中で一番取り付け難度が高いというか、工夫が求められるところだと思うので、きっちりフルフェンダーが付いた自転車はそれだけで乗り手の工作レベルの高さが分かる。

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フレームとの微妙な距離を調整するスペーサー、正体はプーリーのブッシュ。あるものを使う小技と簡単に言うけど、その選択がスッと出てくるまでの積み重ねがあってこそ。

 

ハンドルバー : NITTO B132 ランドナーバー

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<追記>製品が間違ってたので修正しました

独特のせり上がった形状のランドナーバー、こちらも年代物。

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クラシカルな丸ハンにDi2のSTI。下ハンを握ったとき上ハンに腕が当たらない絶妙な角度だそう。

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ブルベも走られているそうで、2灯と定番のeTrexを装備。

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リアミラーもしっかり。

 

サドル : BROOKS B17 TITANIUM

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ブルックスの革サドルで締めるところは締める。

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しかもレールはフレームと同じのチタンモデル。

 

ホイール : 手組み オーダメイドリム

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ホイールもご自身で手組されたものだそう。

しかもこのリム、中国の工場に個人でオーダーして、チューブレス運用が楽なようにホールレス仕様で作ってもらった一点物だそう。そんな手があるのか…

合わせるタイヤはIRCのFORMUKA PRO 25c。30cでの運用もされているそうで、泥除けなどは30cのサイズに合わせているそうです。

 

あとがき

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峠の下りで追いついて、いきなり声をかけるという不審者ムーブをかましたにも関わらず快く愛車の細部まで語って頂いたオーナーさん。

聞けば昔は某大学のサイクリングクラブだったそうで、鍋を積んで野宿しながら全国を走るという、同じルーツをもった先輩サイクリストでした。

早速今日の様子も記事にしていただけたみたい。
この自転車以外にも、機知に富んだ記事を沢山書かれているので是非ご一読ください。めちゃくちゃ勉強になる。

ありがとうございました。またどこかで。

おしまい


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