久々の遠出サイクリングは以前から目星をつけていた京都と福井県境近くのいくつかの峠を巡ってみることにした。
このへん。
少し西の和知周辺には何度も走ったロンググラベルがあり、東に行けば五波峠など見知った峠が多々あるなかのブラインドスポットとなっていたので実地調査。
そんな車道空白区間での東西横移動ルートを探した結果、最も手頃に越えられそうなのがこの洞峠だった。
地形図でパッと見たところは一本の枝尾根にとっついて稜線を目指すシンプルなルート。特に序盤は等高線も密でそこそこハードな担ぎを覚悟していたが、その予想はいい意味で裏切られた。
r51から古屋の集落を抜けて谷筋のグラベルを進みとっつきの登山道を探す。
崩れた地蔵小屋が登山道への入り口。意を決して自転車を担ぎ枝尾根へのキツい登りに備えるが、しばらく歩いてみると思っていたより斜度が緩い。それに、道も広い。
この洞峠、斜面自体はそこそこ急だけど、道のつき方がとにかく優しい。キツい斜面は遠巻きに巻いて、長い斜面は切り返しながら緩やかに、道幅は余裕を持って、段差もほとんど作らずに、それでいて確実に標高を上げていく。
綺麗な渓流があるわけでも、優れた眺望があるわけでもない、なんてことない雑木林だけど、「ああ、いい山だなぁ…」と芯から感じられる素晴らしい道。
木漏れ日を通す新緑の鮮やかさか眼に眩しく、久々のサイクリングで鈍った心には刺激が強すぎて思わず息が漏れる。
落ち葉の積もる道のど真ん中にばたり仰向け大の字にひっくり返り、しばらくそのまま放心しながら、普段閉じてる心のドアを片っ端から開けていく。
目を閉じて、耳元の枯葉がなる音に慣れてくると、次第に遠く遠くへ意識が広がり、風に草木の揺れる木々、鳥の声、土の匂い、自分を包む山そのものの空間がどんどん立体的になってくる。HUNTER×HUNTERで言うところの”円”ってたぶんこれだな。
この時期の木々の青さや森の膨らみから放たれる何かがDNAに効いているのを感じる。
美山側は少し道が険しくなり、最後は崩落もあってかなりの急斜面を滑り落ちるように谷筋へと合流した。
集落に降りてくると田んぼは水張りの真っ最中で用水路からの水がジャバジャバと流れ込んでいる。照り返す日が眩しい。
ダイナミックな水車だが、実は回転しておらず、あたりに水を散らすばかりだった。
R162に合流して北上し堀越峠へと向かう。
ここも旧道のグラベルを行くのは久しぶりだ。
材木運搬車の通行が多いようで砂利の路面も整っておりあっという間に峠へとたどり着いた。
おなじみマディフォックス。
ハンドルバーを普通のフラットバーに変えようと思っていたのに、ズボラこいてKYOTEのまんま。

フォーク横に取り付けたミノウラのスライドケージが今回でまた割れた。取り付け角度のせいか、ダウンチューブ下よりもダメージがでかいのかもしれない。
堀越峠からはグラベル下りのあと国道に再度合流し、スノーシェッドをくぐって名田庄の道の駅へ。
併設の飯屋でそばを食ったんだけど写真撮ってなかったな。天ぷらそばを奢ったのにレンチンされたへにゃけた海老が1尾乗ってるだけで、あれなら普通に大盛りにしたほうが良かった。
当初の引いていたルートではそのままr1まで舗装路を流すつもりだったが、道の駅のすぐ近くから一本面白そうな林道が伸びていたので入ってみることに。
そしたらこのありさま。
このへん。
少し西の和知周辺には何度も走ったロンググラベルがあり、東に行けば五波峠など見知った峠が多々あるなかのブラインドスポットとなっていたので実地調査。
洞峠
R27が南北に舞鶴まで伸びる京丹波市・綾部市側と、一筋東の京北・美山をぬけて小浜へつながるR162の筋の間にはそこそこ高い山脈が連なっており、車道での横移動は大野ダムより北は県道1号線まで行くしかない。そんな車道空白区間での東西横移動ルートを探した結果、最も手頃に越えられそうなのがこの洞峠だった。

地形図でパッと見たところは一本の枝尾根にとっついて稜線を目指すシンプルなルート。特に序盤は等高線も密でそこそこハードな担ぎを覚悟していたが、その予想はいい意味で裏切られた。

r51から古屋の集落を抜けて谷筋のグラベルを進みとっつきの登山道を探す。

崩れた地蔵小屋が登山道への入り口。意を決して自転車を担ぎ枝尾根へのキツい登りに備えるが、しばらく歩いてみると思っていたより斜度が緩い。それに、道も広い。

この洞峠、斜面自体はそこそこ急だけど、道のつき方がとにかく優しい。キツい斜面は遠巻きに巻いて、長い斜面は切り返しながら緩やかに、道幅は余裕を持って、段差もほとんど作らずに、それでいて確実に標高を上げていく。
綺麗な渓流があるわけでも、優れた眺望があるわけでもない、なんてことない雑木林だけど、「ああ、いい山だなぁ…」と芯から感じられる素晴らしい道。


木漏れ日を通す新緑の鮮やかさか眼に眩しく、久々のサイクリングで鈍った心には刺激が強すぎて思わず息が漏れる。

落ち葉の積もる道のど真ん中にばたり仰向け大の字にひっくり返り、しばらくそのまま放心しながら、普段閉じてる心のドアを片っ端から開けていく。
目を閉じて、耳元の枯葉がなる音に慣れてくると、次第に遠く遠くへ意識が広がり、風に草木の揺れる木々、鳥の声、土の匂い、自分を包む山そのものの空間がどんどん立体的になってくる。HUNTER×HUNTERで言うところの”円”ってたぶんこれだな。

この時期の木々の青さや森の膨らみから放たれる何かがDNAに効いているのを感じる。


美山側は少し道が険しくなり、最後は崩落もあってかなりの急斜面を滑り落ちるように谷筋へと合流した。
堀越峠から名田庄へ

集落に降りてくると田んぼは水張りの真っ最中で用水路からの水がジャバジャバと流れ込んでいる。照り返す日が眩しい。

ダイナミックな水車だが、実は回転しておらず、あたりに水を散らすばかりだった。
R162に合流して北上し堀越峠へと向かう。
ここも旧道のグラベルを行くのは久しぶりだ。

材木運搬車の通行が多いようで砂利の路面も整っておりあっという間に峠へとたどり着いた。
今回の装備

おなじみマディフォックス。
ハンドルバーを普通のフラットバーに変えようと思っていたのに、ズボラこいてKYOTEのまんま。

【レビュー】Ritchey KYOTE ハンドルバー
リッチーのちょっと変わった形状のハンドルを2年ほど使っている。
マディフォックスを街乗り運用する際に手首の角度が無理なく持てそうでゆるっと乗るには良さそうだなと思って導入し、そのまま休日のサイクリングにも度々動員された。
...
フォーク横に取り付けたミノウラのスライドケージが今回でまた割れた。取り付け角度のせいか、ダウンチューブ下よりもダメージがでかいのかもしれない。
堀越峠からはグラベル下りのあと国道に再度合流し、スノーシェッドをくぐって名田庄の道の駅へ。
併設の飯屋でそばを食ったんだけど写真撮ってなかったな。天ぷらそばを奢ったのにレンチンされたへにゃけた海老が1尾乗ってるだけで、あれなら普通に大盛りにしたほうが良かった。
当初の引いていたルートではそのままr1まで舗装路を流すつもりだったが、道の駅のすぐ近くから一本面白そうな林道が伸びていたので入ってみることに。

そしたらこのありさま。
やれやれだぜ!!!! pic.twitter.com/Q4XYzsrKFQ
— やくも (@wartori621)
April 27, 2025
崩れて間も無いようでまだ岩に落ち着きがなく、ふとした拍子に大崩れが起きてもおかしくない。自分が落ちるより、上から落ちて来るんじゃないかという恐怖感がすごかった。
冷や汗かきながら無事突破。いいね、サイクリングらしくなってきた。
尼公峠
予定のルートに合流し、この日のラスボス尼公(にこ)峠へと挑む。コンクリート敷の舗装路だが、とにかく斜度がエグい。谷筋を駆け上がって栃の巨木のあるところまで、平均勾配15%はくだらないエゲツない勾配で一気に標高を上げていく。久々の自転車で鈍った身体には相当堪える、というか普通に何度も悪態と足をついた。当然写真はない。

栃の巨木
ここまでくると少し斜度が緩む

でかい。写真に収まらない。

巨木を過ぎてすぐの展望スポットからは若狭湾の切れ端をかろうじて望むことができた。
峠までたどり着き、ここからあとは下って終わり…かと思いきや、実は本番はここから。
未だに舗装舗装路は継続しているものの、徐々に路面への堆積物が多くなっていく。
小中のゴロ岩を避けながら進んでいくと、

あれま

どっこいしょ

なるほどね
変わらず舗装路のはずなのに、ひとつカーブを巻く毎に落盤・崩落・土砂崩れのオンパレードで路面が顔出す隙間もない。1・2年放置されたくらいじゃここまでは荒れないだろうし、かなり年季の入った廃道だ。
一瞬撤退も脳裏によぎったが、押し歩き、担ぎ越え、

そして最後に1番の大崩落が待ち構えていた。
反対側にはユンボなどの重機が数台。どうやらここが補修作業の最前線のようだ。
盛大に流れ去った谷筋にむけて間に合わせのロープが垂れていて、降りた先には崩壊したコンクリを雑にセメントで固めたような、これまた間に合わせの道ができている。
そこにひとりの老人がいた。反対側の斜面を何かを引きずりながら登っている。

鹿だ。首に縄をかけて、どうやら斜面の上まで引きずって運ぶ最中のようだ。せっかくなので声をかけさせてもらう。
ワイ「これ、ご自分で獲らはったんですk 爺「あんたこの道向こうから来たんか!???自転車で!???」
いや、まあ確かにどう考えてもおかしいのはこっちだよな。
聞けば地元の農家さんだそうで、鹿が増えすぎて畑の作物を荒らすので、こうして鉄砲で仕留めては役所へ持っていくらしい。
おじいちゃんが汗だくで立派な鹿の屍を引きずり上げる様からは、ついさっきまで生きてたものだけに許されるあの柔らかで完全な脱力を果たした肉体の重みが伝わってきて、なんとも趣深い光景だった。
廃道を脱して山を下り、この日のサイクリングはおひらき。
新緑と里山の命を感じる、いいサイクリングだった。
おしまい
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