おにゅう峠で日が暮れる突発半日ロングライド

サイクリング

三連休最終日に降って湧いた午後のフリータイム。

娘の寝かしつけを妻が引き受けてくれたことで門限解除となり、ということは夜までおよそ12時間を自由に使える。

さあどうしようか。

最近ロング&ナイトライドってやつをめっきりやってなかったので、とりあえず得物はロードのTCRに決定。この時点では目的地は決まっていなかったが、決まってないが故に輪行袋は外せない。

走行距離は150km前後になるか、それだけ走れば東西南北どこかしら良さげなコースは組めるはずなのに、自分は基本こういう場合帰巣本能で北へ向かうきらいがあるようで、


気がつけば自宅から約30km、おなじみの市原ローソンにいた。

途中市内で市バスにスレスレぶち抜かれてものすごい暴言を吐いたおかげでいい感じに頭も冴えてる。

ここに辿り着くまでに頭の中には3パターンくらいルートが浮かんでいた。

  1. 美山から日吉→亀岡で自走帰宅
  2. 五波峠→小浜
  3. おにゅう峠→小浜
さあどれにしようかなーと考えながら、いずれにしても外せない花脊峠を登る。


全面通行止めの看板に花脊で担ぎ!?やったろやんけ!!焦ったが、どうやら百井別れから先の477が時間規制がかかっているだけのようで問題なく通れた。

サイクリング部の春秋恒例花脊TT、現役時代はクソ重MTBでこの展開場から峠までを自己ベスト26分ちょいで走ってたんだけど、聞けば今年の「平均」タイムは25分台だそうで。わけがわからないよ。

あの頃乗ってたコイルサス付きアルミMTBの、体感半分の軽さを誇るTCRで、だけどそれでもあの頃よりは確実に斜度も距離も伸びた峠をえっちらほっちら登る。


到着。

あ?タイム?水飲み場過ぎたあたりで30分越えたあとからは時計見るのやめた。

峠を登りながら色々考えた結果、身体の調子も悪くなさそう(遅いけど)なので、これならおにゅう峠も越えられそう。

そういえば紅葉のシーズンだし、Twitterでは関東勢がみんな奥只見行ってるし、燃えるような紅葉ってやつを拝みに行ってみんとす。


てことでこっち。

佐々里峠の手前を東へ折れて、能見峠へと向かう。


能見峠に入ってすぐの舗装がかなり綺麗に整備されていて驚いた。何年か前エクターでここ走って規定トルクで締めたトムソンのステムが荒れた段差でズレて死ぬほどビビったんよな。

【ステム】THOMSON ELITE X2は、ズレる。




車はたまにすれ違うだけで、この時間に後ろからくる物好きはいない。

久多の集落に到着。

ここの自販機、後ろの廃れたJAの雰囲気と相まって大好きなんよな。スポドリを一本飲み干して来るおにゅう峠に備える。

緩やかに登りながらおにゅう峠の麓まで山間の集落を繋いで15kmほど走る。このあたりののどかな原風景はいつ来ても心が洗われる。


おにゅうの集落にたどり着いた頃には間も無く17時になるところ。

間も無く日没。この時間にここにいて、しかも北を向いているって、それだけでちょっとドキドキする。

おにゅう峠の山頂は標高830m、花脊よりもさらに高いこの日の最高地点だけど、距離が長い分幾分か斜度はマシだ。

登り初めるころには日は山の向こうに隠れ、標高を上げるにつれて徐々に色づく木々が徐々にその彩を失っていく。これが侘び寂びってやつか。


iPhone13 mini、おれの目より希望に満ちてるな。

次第に遠くの山際が夕焼けに染まり出した。周りの紅葉と相まって、全ての輪郭が朱で攪拌されていく。


立てた爪痕のような細い月もどこか蟲惑的で、この静かな林道が異次元にでも通じてくれないだろうかと淡い期待を抱かせる。


頂上寸前のガードレールから、大団円を見守る。今日のサイクリングはこれを見るためのものだったらしい。ヘルメットも靴も脱いで、口開けっぱで垂れる涎も気に留めず、心身の穴を全てかっ開いて全部を浴びる。素晴らしい時間だった。

残光を見送って走り出せば間も無くおにゅう峠の頂上へとたどり着いた。


何度目かな。5回目くらい?いやあ、来れてよかった。

さあここからは日本海まで、830mの暗黒ダウンヒル。


全線舗装化されてしまったとは言え未だ砂利や細石が転がる路面、こんなところでこんな時間にハスってパンクだけは勘弁願いたいが、だからと言って安全マージンに全振りでトロトロ下るのも何か違う。

落ちない、こけない、パンクしない、その上で出せる最高速。とはいえそんなのは結果論。散ればそこまで残念でした、寒い谷底で天を仰いで綺麗な星を眺めましょう。

そんな気持ちで下って下って、眩しい小浜の街を抜け、どんつき海へとたどり着いた。


嫌に明るい海岸線にちょっとげんなりしながら考える。

小浜から輪行もありっちゃありだけど、敦賀経由で時間もかかる。それならあと一つ峠を越えて、琵琶湖沿いまで行ってしまえば湖西線で京都まで一本で帰れる。これだ。

ということで再度出発。
小浜、踏切、港町。

近江今津までは若狭街道をゆく。

標高200mほどの峠道は、夜に走るとなおのことどことなく長野の塩尻峠に雰囲気が似ている。


それにしても身体が軽い。

ロングライドにおける自分の特性として、「ナイトリセット」と呼ぶ特殊能力がある。

どういう理屈か知らないけれど、日が暮れると日中に溜まった心身の疲れが一度リセットされるのだ。たぶん先祖はドラキュラかなにかだったんだろう。

快調に峠を越えて琵琶湖へ下る。


湖西線の高架沿いって、昔からなぜか好きなんよな。


まもなく近江今津駅に到着。

輪行して、電車に乗り込み、今、最寄駅に着いた。

よかった、輪行中に書き切れた。

いいサイクリングだった。

おしまい

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