SHIMANO GRX RX810 (フロントダブル)を使ってみて
いつか書こうと思ってたら、導入から1年半以上経ってしまっていた…
SHIMANO初のグラベル用コンポーネント、GRX。
基本的なスペックの紹介なんかはすでに出尽くしていると思うので、グラベルツーリングやらロングライドやらガレた砂利下りやらで使い倒して感じたことをいくつかまとめておきたいと思います。
とりあえず言いたいこと先に書いとくと
・フロントダブル(48-31t)の17T差はかなり効く
・STIはレバーの面取りと表面処理がとても良い
・RDのスタビライザーはOFFでもチェーン落ちたこと無い
・RDのシャドーデザインは実際かなり効果ありそう
・RDさえ代えればディスクロードに導入するのもあり
ちなみに、フロントダブルを選択した理由は別の記事に詳しくまとめてあります。迷うくらいならダブルで良いと思うよ。
17T差の効果について
GRXは最上位グレードのRX810のみ唯一、ダブルクランクの歯数構成が 48-31t となっていて、その差17t。
ロード用のコンパクトクランクは50-34tで16t差なので、そもそものキャパシティが1大きい。
当初は「言うてフロント1t広がった程度でそんなわかるほどの差ないやろ…」と思っていたけど、実際に乗ってみるとこれが良くも悪くも普通に実感できるほど影響の大きいファクターとなりました。
メリット
良い面としては単純にトータルキャパシティの大きさ。もっと言えばインナーローの軽さ。急斜度の未舗装路では立ち漕ぎでトルクをかけようと腰を浮かせた瞬間にタイヤがズッてしまうのでシッティングのまま足を回すしかなく、そうなるともうギア比なんか低ければ低いほうがいい。
だいたい奇声あげてる
だからといってインナーに合わせてアウターの歯数まで下げていくと、今度はアプローチや林道を抜けた後のダウンヒルでギア比が足りなくなってしまうため、48-31tという設定はまさにオン/オフロードの両方を射程に捉えた良い塩梅。デメリット
これも実際乗ってみて気づいた部分だけど、歯数差がでかい分余計なディレイラー操作が一回増える。例えば「舗装路でコーナーの先に突然急な坂が現れ、その後すぐ平坦にもどる」という場面を想像してほしい。このとき変速操作としては、
-
- リアの変速が間に合わないので、とりあえずフロントをインナーに落とす
- リアを斜度に合わせて細かく調整
- ピークを過ぎたのでフロントをアウターに戻す
- リアで再加速に向けて再度微調整
気にするほどのことでもないと思うかもしれないけれど、今まで16t差に慣れていたら確実に気づいてしまうほどの違和感が確かにあるし、そうした場面は割と頻繁に現れるので、使い始めた当初は少しストレスだった。今はもう慣れた。
STIレバーの形状と表面処理が良い
最近何かと槍玉に挙がる機械式油圧STI。実際予算が許すなら油圧はDi2にしとけ、とは思う。
それはそれとして、このGRXのレバーはその他のロード用機械式油圧とくらべてもかなり出来が良い。
特に「GRX」のロゴが書いてあるレバー正面。ここがフラットになっていて、フレアハンドルでもブラケットポジションからの指のかかりがとてもいい。
これはDEFYで使っていたDuraのST-R9120とR685。
どちらもスベスベで丸めの形状なのでGRXに比べると滑る。
あと、表面処理。上の画像はひとつ下のRX600グレード。
レバーの形状は同じだけど、表面の仕上げが微妙に違っていて、RX810の方がよりマットできめ細かく滑りにくい手触りになってます。
スタビライザー無しでも十分
リアディレイラーのスタビライザー、効果は抜群でONにすればプーリーがガッシリ固まってチェーンの暴れを抑えてくれます。
が、
そもそもグラベルにスタビ、いる?というのが正直な感想。
そりゃ当然グラベルなので多少の振動やチェーン暴れはあるけれど、そもそものテンションが固めに作ってあるのでMTBのようにバンプやドロップを飛んで跳ねてを繰り返すようなことが無いならなくても問題ないと思う。
実際最初こそ使ってたけど、変速操作が重くなるデメリットと、そもそも切り替えが煩わしくて最近はずっとOFFのままこんな道を走っています。
それでもチェーン落ちや変速ミスは一度も経験したことないから無用の長物なのでは…
シャドーデザインは効いてるっぽい
何度もひっくり返ったりぶっ倒したり木々の間を担ぎで押し通したりしてるけど、今見ても目立った傷はほとんどついてない。
なんならロードに付けてるeTapの方が擦り傷多いくらいなので、シャドーデザインの効果は多少なりとも発揮されているのだと思います。
ディスクロードへの導入もあり
グラベル用コンポと銘打ってはいるけど、17t差のキャパシティや握りやすいブラケット形状など、デュラやアルテなどのロードコンポにはない魅力も多いので、用途に合うならエンデュランスロードなんかのメインコンポとして導入するのは全然ありだと思う。
その場合はリアディレイラーだけはロード用に代えればいいかな。11速なら普通に互換性あります。
まとめ
ブレーキや変速の性能に関してはあえて書くまでもなく完璧に動作してくれています。それが一番凄いことかもしれん。
今や不遇なポジションとなってしまった機械式油圧コンポ。Di2がぽんと買えるならそっちを選ぶけど、すくなくともロード用の機械式油圧と比べると完成度は2段階ほど高い出来になっていると思うので、価格やとっつきやすさのバランスを考えると普通におすすめできるコンポかなと思います。
おしまい
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