JARIで2年近く使用していたWTBの650B(ロードプラス)規格のタイヤ。結論から言えば、日本のクソガレ林道で求められる性能に特化したような、めちゃくちゃ頼れるタフなタイヤだった。
スペック
使用していたのはSG2という耐パンクケーシングが追加されたモデル。ビード間全周にわたってナイロンの耐パンクレイヤーを織り込んだものだそう。
重量
実測で624gと610g。
ちなみに通常モデルだと公称555gなので、6〜70gの差がある。700×45cのシン・グラキンX1が520gであることを思えばかなりの重量級。
トレッドパターンとタイヤ幅
あまり他では見かけない細かくエッジの切られた密集型のセンター部が特徴的。また、他のタイヤに比べて中心からサイドノブにかけてのアールがゆるく、走行時に接地する面積が実際の幅以上に大きい。ケーシング以前にこの厚めのトレッド部も耐パンク性に貢献してそう。
使用感
チューブレス化
合わせたのはMAVICの一昔前のクロカン用アルミホイールCrossmax Pro SL。ビード上げはフロアポンプで一発とまではいかないが、ブースターを使えば苦労せずに済んだが、コンパウンドの目が粗いのかしばらく放置しているとシーラントが沁み出してくることがあった。ラスト一年は目が詰まったせいか液体の漏れも無くなったが、エアの抜けはそこそこあって1週間で1気圧くらいは抜けていた印象。使っていたシーラントはパナレーサーの旧版とスタンズで、泡吹いたのは前者。空気漏れに関しては感覚的にはどちらも大差なく、ワンライドは問題なく保つけど、次の週末にはかなり下がってるって感じ。
耐パンク性能
SG2ガードのおかげか、今まで使ってきたグラベルタイヤの中でも最強。なにせがれたグラベルで2年使ってもノーパンクという驚異的な耐パンク性能を誇る。サイドカットも貫通も、なんなら目立った傷すらなく、全くのノートラブル。パンクは運の要素が多分に絡むとはいえ、走る場所が場所なのでこれまで使ってきた他のタイヤは年に数回パンク(あるいは爆発)しており、いくらおれの日頃の行いが良いとはいってもVentureの強靱さは疑いようもない。使用終盤はもはや何とかしてパンクさせてやろうとガレ場でもあえてハードに突っ込んだりしてみたが歯が立たなかったので、継戦能力を求めるタフなサイクリストにはこの一点だけでも強く推せる。
また、耐摩耗性もかなり高い。
4500km経過したventureさん。
— TOMO (@CHARIandTOMO) June 20, 2021
もうすぐ頭頂部が禿げる😇 pic.twitter.com/m4FEDBKk03
自分よりはるかに酷使してるTOMOさんが4500kmしばいてこれだから、おそらく普通に5000㎞くらいは走れそう。最近のタイヤはどれも寿命が短い傾向にあるなか、グラベルタイヤでこれだけ持つのはかなり安心感がある。
走行性能
WTBの能書きではオンロードからオフロードまで幅広くカバーするマルチユースなモデルのようだけど、個人的にはかなり未舗装寄りのタイヤという印象。オフロード
特徴的な密集型センターノブに加えて、タイヤの形状そのものがフラットで実際の幅以上に接地面積が広いので細砂利の急登でもトラクションの粘りが効いてガシガシ登れる。下りではコーナーでの挙動が特徴的で、自転車を倒していくと平らなセンタートレッドの両端に配置された高めのノブが突然ガガっと突き刺さっていく。シームレスとは真逆の感触だけど、Venture独特の感覚さえつかめば先述した耐パンク性能の高さも相まっておよそどんな路面やカーブでも恐れず突っ込んでいけるのでとても楽しく頼もしい。
また、タイヤ云々以前に700c→650Bの小径化によって、特にグラベルの上りでバランスよくトルクを掛けられるような感触もあった。ペダリングから推進力が伝達されるタイミングが700cとは異なるので、とくにJARIではその差がいい方向に働いたのかもしれない。
オンロード
使う前は中央の細かいトレッドがトルクで潰れてロスになるんじゃないかと思っていたが、乗ってみるとストレスになるほど転がりが悪いわけではない。ただ無敵の耐久性を裏返した物理的な重量はあるのでどうしても高速域での鈍重さは感じる。とはいえこのタイヤで長距離グラベル含む160kmオーバーの山岳コースを1日で走り切れたので、地力をデバフするほどのネガは無い。
総評
北海道のような所謂「メーカーが想定するグラベル」をゆくならいざ知らず、日本のゴロガレ林道で使うならVentureのように圧倒的な耐久力を武器に臆さず突っ込んでいける強靱さはかなり魅力的。今のD-309では700cでグラキンの速さと軽さを楽しんでるけど、いずれ650B化して悪路特化の乗り味も試してみたいところ。そのためには早く650Bのフロントホイール買わなきゃな。
おしまい
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