質問いただいたので、今更ですがもともとフロントシングルだったJARIをダブルにした理由をちゃちゃっと書いてきます。
フロントシングルもそんなに悪くなかったよ
自分のFUJI JARI、もともとはSRAM APEX1のフロントシングルでした。前が40t × 後 11-42tの構成。
自分はダブルどころかトリプル信者なので、RALEIGHやマディフォックスなんかは未だに前3枚です。
輪界のみなさんにはどうにも難しいようですが、実は2x11<3x9なんですよ。
世界一カッコいいクランクはFC-6604です(断言)
ただ、試さずに貶すのもバツが悪いので一回は使ってみるか…と、そのまま旅に出てみたら、これがなかなかどうして悪くない。
重装備でのツーリングではケイデンスにシビアになる必要がなく、トータルで適当なギア比さえ満たしていれば無問題。
SRAMのダブルタップレバーの操作感が楽しかったこともあって、当初はこのまましばらく使ってみるかとさえ思ってたほど。
フロントシングルの問題点
が、やっぱりというかどうしても不満な点も出てくる。それは主にはクランク側というより、合わせるスプロケットの問題。グラベルバイクに必要なギア比を1×で確保しようとすると必然的にかなりワイドな構成になってきます。
たとえばSRAM APEX1で使用するPG-1130(11-42t)の場合、
PG-1130
トップ側は2T刻みで、ロー側に掛けて3T〜6T差とかなりギャップがあります。そのため問題がいくつか。
ギアの繋がりが悪い
JARIを1×で使ってみて、テント装備積んだのんびりツーリング時は「ええやん!いけるやん!!」だったけど、平地通勤でスピード乗せると「もっとこう…あるだろ…!🤷♂️」な感じだったのでやっぱり前2枚(欲を言えば3枚)は大事😌 pic.twitter.com/6q5YscZKCL
— やくも (@wartori621)
June 16, 2020
JARIは意外とロードよりのジオメトリなのもあって平地なら28km/h前後を維持して楽に走れるのですが、ツーリング中のフル装備ならいざしらず、日帰りライドや河川敷のサイクリングロードでスピードに乗ってくるとギアのつながりが荒すぎてとてもキモチワルイ。
ちょっとした向かい風とか、上り下りというほどでもない緩い坂なんかでもギア比の変化が大きすぎて痒いところを通り過ぎていってしまう長すぎる孫の手状態に。
別にスピードを求めるわけじゃないけどそもそもグラベルロードを買った理由の一つが、未舗装路を含む150~200km程度のロングライドをすることにあったので、オンロードでの走行性能はどうしても捨てられない。
実際GRXのダブルに換装して臨んだ北海道ツーリングでは春の富士旅以上の装備量&未舗装率で一日最高230km、実質4日で670kmという距離を走破できました。1xなら絶対途中でやる気なくしてた。
もう200km以上走ってこの時間なのに視界5mの霧の中どことも知らないグラベル走ってるの冷静に考えていみわからんな?🤔🤔🤔 pic.twitter.com/IKv8Q4OqUR
— やくも (@wartori621)
July 26, 2020
スプロケットの歯飛びが怖い
ツーリングでも実は全く問題が無いわけじゃない。
これおぶこれ。今回わかったフロントシングルの欠点の一つ。
— やくも (@wartori621) May 4, 2020
「ッカーッン‼︎」って明らかにスプロケに悪そうな音と感触がするのですぐに歯が飛びそう。
キャンプツーリング特化で考えれば前3枚でクロスレシオな8or9速あたり最強なのは間違い無い。 https://t.co/Fmdv3t19jL
重装備のツーリングでは急な上りなどでどうしても強めのトルクで踏まなければならない場面があって、その際かなり苦しそうな「ッカーッン!!」という音を立てて無理やり変速を完了させています。
あれは絶対チェーンにもカセットにも多大な負荷がかかってるから、それならいっそ前を増やしてリアをクロスレシオにするほうがチェーン切れたり歯が飛んだりという大きなメカトラブルは少ないような気がしてます。
そのメリット、ほんと?
身もふたもないことを言えば、フロントシングルの利点が自分にとってそれほどメリットになっていないのでは…?とも思い始めた。「フロントシングル メリット」で検索したら初っ端にこんなのが出てきたので個別に見ていきましょう
1.フロントディレイラーのトラブルがなくなる
そもそもの話、フロントディレイラーってそんなトラブる??
直近1万キロ(だいたいでOK)のライド中にフロントディレイラーがトラブった回数を教えてください。
— やくも (@wartori621)
(あなたがうわっ!めんどっ!!と思うレベル。微妙な変速不良とかは除く。)
June 16, 2020
これでもちょっと多いなって意外だったくらい。
リアディレイラーならわかる。簡単に逝く。年に一度は同行する誰かのが死んでる。
マウンテンバイクでハードに飛び跳ねるならいざしらず、グラベルロードやまして普通のロードバイクでフロントディレイラーがぶっ壊れるってなかなか無いと思うのです。
それに壊れても最悪羽根を切ってしまえばそこからフロントシングル運用できるわけだし、リカバリーも容易。
2.チェーン落ちがなくなる
今のディレイラーってスタビライザー付いてるからダブルでもなかなか落ちないんです。こんなとこドンドコ走ってるけど落ちたことありません。
3.変速の迷いがなくなる
これはちょっとわかる。考えることが減ってある面では良かった。でも、自分はサイクリングの楽しさの数%にはギアの操作も含まれてるので楽しみが減るとも言える。4.クリーニングやメンテナンスが楽になる
掃除もたしかに楽。ダブルのインナーリングなんてウエス拭き程度の日々のメンテじゃ届かないもんね…5.車体重量を抑えることができる
グラベルバイクの場合、実は殆ど変わらない…どころか重くなる場合まである。原因はこれ。ローグレードのドデカイスプロケってめちゃくちゃ重くて、APEXのこいつは単体で圧巻の530g。
GRXで使用するSHIMANOのHG800 11-34tは335gなのでこれだけで200g差。この200gをフロントのチェーンリングとディレイラーだけで吸収するのはかなり高グレードのものに変えないと厳しい。
走行性能的にもホイールにこれだけの重りつけるのはかなり影響デカイはず。
6.車体破損のリスク低減
フロントディレイラーがあることでフレームが逝くような場面ってそれ確実に他も死んでるやつでは…?てな感じで、実際に享受できたメリットは掃除の楽さくらいのものでした。
まとめ
マウンテンバイクや、ほとんど山の中の未舗装路しか走らないっていう純粋なグラベルグラインダーなら活きてくるのかもしれませんが、アプローチやロングライドに未舗装路を組み込みたい自分のような使い方にはダブルのほうが向いている、というのが今現在の結論です。GRXでダブル化した感想も近々まとめます
〈追記:書きました〉
<おまけ>
お初です。
— ポンプ大帝™@ Rody Project (@goloveski) January 6, 2022
たいへん腹落ち感良かったです。
ついこさえてしまった雑コラですがご笑納ください。 pic.twitter.com/kqOWTF6XFQ
讃えよ!!
おしまい
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