シマノで最も影の薄い通好みなトレッキングバイク用コンポーネントのXTグレード片面フラットSPDペダル。
4年前に買ってしばらく試したあとタンスの肥やしになっていたところをサルベージ。
組み直したマディフォックスを普段の街乗りにも活躍させるべく再度投入することになった…が、結論からいうとすぐに使用をやめてしまったのでここに軽くレビューを書いて供養しておく。
SHIMANO XT PD-T8000
発売から地味に6年以上が経っているロングセラーモデル。実は先代モデルとしてPD-T780があり、T8000はそのブラッシュアップ版となる。重量は実測で427g。公称が392gなのでシマノには珍しく結構なサバの読み方。
ちなみに同じくXTグレードのケージ付きモデルよりも公称値ではわずかに軽い。見た目はデカイがビンディング機構がない分で相殺されているみたい。
スパイク付きのフラット面
自分が10年ほど前に初めて買ったSPDペダルはPD-A530という片面フラットモデル。初めてのビンディングペダルということで喜んで使っていたけどこいつには致命的な欠点があって、それはフラット側が雨の日にめちゃくちゃ滑る!フラット面に突起やスパイクが何もなくて、水に濡れるとどこに引っ掛かることもなくツルッとソールが離れていってしまう。
翻ってこのPD-T8000はフラット面にスパイク(イモネジ)が取り付けられ、ソールへの食いつきが段違いに良い。
踏面のサイズの違いもあって本格的なMTB用フラットペダルに比べると安定感は劣るけど、ちょっとしたグラベルや街乗り程度なら必要十分なグリップが確保できている。スパイクのおかげで雨でもきちんと引っかかりを感じる。
ビンディング面
至って普通のSPDペダル。しっかりハマるし、踏みごたえ十分。
ただ自分はしっかり距離を乗るロードやグラベルバイクにはXTRのペダルを愛用しており、厄介なことにクリート位置が微妙に異なる(XTRのほうが1.4mmほど後退している)のでわずかながらポジションが変わってしまうのだが、街乗り程度で気になるほどの差はない。
それよりも両面SPDに比べて横方向への突き出しが大きいので、同じ感覚で自転車を急旋回させるとペダルヒットさせてしまう可能性があるので要注意。
ニュートラルのペダル位置とリフレクター
片面SPDで個人的に一番重要なポイントは足を置いていないニュートラル状態でのペダルの向きが常に一定であること。これがバラバラだとストップアンドゴーの度に都度目視して踏む面を選ばなければならないのでめちゃくちゃストレスなので。その点このPD-T8000は合格で、足を離せば左右ともクランクの位置に関わらず常にこの位置(フラット面が前、ビンディング面が後)に傾く。
ベアリングの回転は他のシマノのペダル同様シールがしっかり効いた重みはあるが、ゲージの重さで確実にペダル角度が定まる必要十分なスムーズさは確保されている。
あとリフレクターは街乗り用としては地味にありがたい。それもプラスチックの別体型が雑に付いているのではなくかっちりとペダル本体にネジ付けされているので振動や異音が無いのもいいところ。
そもそも片面SPDが不要では…
と、ここまで書いておいて身も蓋もない話にはなるが、今回改めてこのT8000を取り付けてみて「結局片面フラットのビンディングペダルってあんまりメリットないよな…」と思い始めた。というのも、自分はメインで稼働中の自転車が3台(ロード、グラベル、MTB)あり、その中で普通のスニーカーで乗る可能性がある(街乗りに使う)のはMTBのみ。
休日の街乗りはフラットで、遠出のサイクリングに出かける時はビンディング面を使うという理由から片面フラットのこのペダルを選びはしたが、結局いずれにしても片側の面しか使えないというのはいずれの用途でも小さなストレスがつきまとう。
それならいっそのこと普段は普通のフラットペダルにしておいて、月に何度もない休日サイクリングの出発前に両面SPDに付け替えたほうがトータルの満足度は高いよな…交換なんて2分もあればできるんだし…
という結論に至った。器用貧乏破れたり。
あとがき
というわけで、久しぶりの一軍復帰も虚しくワンポイントリリーフで出番を終えてしまったXT PD-T8000。一つ思いつくのは雪道を含むサイクリングの際などは路面状況に応じて両サイドを使い分けるというのはアリかも。ペダルの性能としては決して悪いものじゃないので、またいつかの出番まで、ベンチを温めておいてもらおう。
で、ちょっといいフラットペダルを買った。
おしまい。
コメント