【パスハンティング】矢ノ川峠旧道サイクリング

サイクリング
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JR三木里駅から矢ノ川(やのこ)峠を経て保色山の周囲を巡る林道サイクリングへ。

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地理院地図や航空写真と格闘しながら入念にルートを選定し、40kmオーバーの未舗装路を期待して望んだが、蓋を開ければ日が暮れて屈辱の撤退を余儀なくされるまでの60km弱、遂にまともな舗装路と出会うことはなかった。

まだまだ自分は紀伊半島のポテンシャルを舐めていた…

矢ノ川峠旧道サイクリング

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天気は晴れ。風もなく海は穏やか。日差しは温く、インナーもう一枚減らしても良かったかなと、この時は思ってた。

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海辺の三木里駅からスタートして3kmも走らないうちに舗装路が終わる。まさかこれがアスファルトとの日没までの別れになろうとは…

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少し進むと法面から崩れた土砂が道を覆う。まだ海からいくらも来ていないのに、およそ四輪車には突破不能な障壁。つまり、ここから先、絶対に車はやってこない。自由だ。全てから解き放たれていく。

自転車は担いでこそ

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Skitch

その後も大小様々な崩落に出会う。もちろんこんなところ乗って進めるわけがない。降りて押す。それも厳しければ、担ぐ。

Skitch

自転車が持つ乗り物としての最大の特徴は、人の力で担ぎ運べることにある。

車やバイクにいくら優れた馬力があっても、大岩一つ転がしておけばそこまで。

でも、自転車は違う。二輪を今だけ二の脚に乗せて遮る壁を踏み越えれば、その向こうからまた車輪の力を借りて、歩くよりはるか遠くへとたどり着ける。

人が担いでこそ自転車に道具としての必然性が生まれる。

 

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崩落部を越えて走り出しても、路面には頭ほどの落石がゴロゴロと。まともにぶつかっては勝ち目がないので合間を縫うように進む。

視線は常にちょっと先。あれは避ける岩、あれは踏んでいい枝、ヤバい!このライン雨裂だ…!
スピードはのんびりでも、五感すべてが前へ進むためにフル回転。こんなふうに日頃から生きていけたら素晴らしい。

 

滅びゆく道に守られて

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夢中になって廃道を進むと不意に展望が開ける。ついさっきまでいた三木里の海岸、いつの間にかこんな高さまできた。

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道の状態もワンコーナーごとに目まぐるしく変化する。
日当たりの良い南向きの斜面にでると、ガレ岩がシダ類に覆われていた。

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八割方山に喰われてしまっているが、縁石だけがかろうじてかつての車道の輪郭を捉えている。

 

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道中至る所で地に根を張った不動車が山に還ろうとしていた。

前も後も崩落で塞がれ行き場をなくし、崩れていく道とともに数十年。下界であればとうに鉄屑として溶かされ別のなにかに生まれ変わっている頃だろう。静かに山に呑み込まれながら、いつまで形を保てるか。

今日の装備

ここで一息、今回の装備。

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自転車 : ARAYA MUDDYFOX MFB

ノーマルの幅広フラットバーに組み直して本来の正統派リジッドMTBへと正調。ゴロ岩だらけの林道で機敏にハンドリングを効かせて岩の合間を縫う走りはまさに狙い通りの活躍だった。

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タイヤはMAXXIS ARDENT 2.25。がれ場が多いため無理に気圧は下げず2barをちょい切るくらいにしてポンポンと跳ねるようにゴロ岩を踏み越える。

今回乗ってみて改めて思ったが、日本の荒れた林道にはヘッド角の寝た最新のグラベルロードよりもマディフォックスのようにヘッドの立ったリジッドMTBで機敏なハンドリング性能を活かすほうが絶対に合う。

バッグ : HYNOW DUCK PACK & APIDURA フレームバッグ

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HYNOWのDUCK PACKをハンドルバーに取り付けるのは同じマディフォックス乗りで、個人的に最もリスペクトしている自転車ブログ「サイクリングにうってつけの日」の筆者 DUNさんのアイデア。

がれ道でも固定に問題はなくタイヤと擦ることもない。上りで暑くなって脱いだインナーをフロントポケットに突っ込んだ。下りは流石に揺れるので腰に巻くが、慣れれば脱着は10秒ちょっとで完了できる。

フレームバッグには一日分の補給食(パン・おにぎり・グミ・etc…)とポンプやチューブ・工具類。TT高が低いので多少ぎゅうぎゅう詰めで横に膨らんでも膝に当たらずペダリングに支障は無い。

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また、途中に補給場所が無いのは覚悟していたからダブルボトル(約1.5L)で臨んだけど全く足りなかった。夏に来るならハイドレーションバックパックが必須になるな。

 

矢ノ川峠へ

閑話休題。先へ進もう。

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ゆっくり着実に標高を上げながら峠を目指す。まだ海も見える距離とは思えない山容である。

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出発地の三木里を見下ろす。

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遠くに見える雪化粧は大台ケ原のあたりだろうか。

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こちらも標高600mを越えたころから日当たりの無い北側の斜面にわずかに雪が残っていた。

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50年前は国鉄バスも通っていたという矢ノ川隧道。佇まいの重厚さに気圧される。

このあたりから路面もかなり走りやすくなり、最後にぐぐっと標高を上げれば…

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到着!標高808m、矢ノ川峠!

尾鷲の市街から伊勢志摩の海岸までを一望する素晴らしい展望だ。海抜ゼロからほぼ未舗装でここまでやってきた感慨は一入だが、ふとガーミンに目をやるとまだ20kmも進んでいない。

この先まだ20km近くは未舗装が続くはずだけど、今日の最高地点は踏破したしあとは下り基調だからなんとかなるだろ。

なんて呑気に考えながら、おにぎりモグモグ海を見ていた。

 

 

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後半へつづく↓

保色山外周未遂サイクリング 池ノ宿洞門

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