突然降って湧いた貴重な2連休。日頃作り溜めてる脳内ルートバンクにアクセスし、体調・天候・機材・時間、その他諸々の条件をスパコンびっくりの処理速度で掛け合わせ、導き出された走行エリアは岐阜の山奥、白川郷。
早朝、白川郷へ
前日20:00、娘と一緒に就寝。2:50、起床。3:00に合わせたアラームを未然に止める。「普段は踏まれても起きへんのにな」と聞こえた気がする妻の寝息を乱さぬよう、コソコソと寝室から這い出して出発準備。
自転車、メット、シューズに着替え、その他諸々車の荷台に詰め込んで遠く岐阜の山奥まで、4時間弱のドライブだ。
途中の養老PAで何気なく食ったわさび豚丼がめちゃくちゃ美味くてびっくりした。本当に美味かったメシの写真はこうなるんだよな。
出発
7時前には白川郷に到着。道の駅のだだっ広い第二駐車場に車を停めていざ出陣。
9月も半ばの白川郷、天気は快晴。早朝7時で24℃。抜けるような青空とは裏腹に湿度はかなり高く、実際の気温以上に不快感が強い。「あの頃の夏は狂ってたよな」と、笑って言える未来が来い。
牛首林道
白川村の集落からすぐ牛首峠を目指して林道へと入る。そういえば先月のきゃんつー集い初日にも同じ名前の峠を越えたな。
登り始めてすぐ、ご機嫌なダブルトラックに変わる。
広い谷をなだらかにのぼる砂地気味の路面はたまに現れるエグい雨裂を除けばかなり走りやすい。
一応オフィシャルには「災害のため通行止め」らしいが、普通に地元のおっちゃんの軽トラも通ってるし特に難所も崩落もなく峠まで到着。
牛首峠からは東西にいくつも楽しげな林道が伸びるが、今回下るのは利賀川(とががわ)ダムへ続く道。
先ほどまでとうって変わって藪の勢いが凄い。周囲にガサガサと獣の気配も多数あり、薮をかき分けた先での望まぬご対面を避けるためにも「通るぞー!!!退けよーー!!!」と大声で叫びながらがさんばらをかき分け走る。
通行「人」より確実に「頭」数の方が多いタイプの橋だこれ。
白川郷側の細砂利に比べて粗石が目立つゾーンもあり、
小川になってるところもあり、変化に飛んだ楽しい道をダム湖まで下っていく。
利賀川ダム
牛首峠からの下りが一段落してたどり着くのは利賀川ダム。キャンプ場もあるみたいだけど、平日ということもあって閑散としていた。君、親戚にコアラおらんか?
ダム湖岸をなぞるグラベル、絵になるいい道。
ダム天端道路の直線上に位置する斜面に、斜め下へと伸びる楽しげなトンネルがあった。
試しに叫ぶと0コンマ数秒でゾクッとするような実体感のある反響が帰ってくる。かなり浅い。整備用具入れだろうか。
山間のダムでしか感じられないあの歪な空間の雰囲気、大好き。「ニンゲン」を感じる。
Today’s Rig
ではここで今回の装備。DAVOS D-309
道の状態が未知数の部分が多かったため、最悪担ぎにも対応できるよう前三角は広く空けて肩当て代わりのモンベルフレームバッグを装着。途中出る補給食のゴミもここに突っ込む。
終わらない夏の無補給ライドなのでフォーク両サイドにダブルボトル。写真ではわかりにくいが左側には1Lサイズのロングボトルを入れており、グラベルの振動で飛んでいかないか心配だったが杞憂に終わった。
久々の登板となったAPIDURAのサドルバッグには補給食のパンやおにぎりとレッグカバー等、比較的軽めのものを入れておいた。
富山県道34号線
利賀川ダムからは富山県道34号線をゆく。そうか、いつの間にか富山県に入ってたのか。二桁県道ということもあって事前の地図読みでは全くのノーマークだったけど、この道が今年走った中でも1・2を争うほど素晴らしかった。
ダム湖から徐々に狭まる谷に向けてなだらかに登る静かな道に車通りは全く無く、山肌からあふれる大量の湧き水をいくつもの洗い越しで越えていく。
高い湿度にキッツい日差し、やってられない蒸し暑さ。そこに流れる冷たい清水。もうやるしかねえ。
夏が終わらないというのなら、こっちにも考えがある。 pic.twitter.com/unSbDGpRAO
— やくも (@wartori621) September 13, 2024
夏のサイクリングってこの瞬間のためにあるんよ。ご存じない?
煮立った頭と火照った身体をシャッキリと冷やし、先へ。
水無(みなし)八幡宮。いや、すぐそこに浴びるほどあったが。
二ツ屋峠
谷間が徐々に狭くなり二ツ屋峠への本格的な上りに差し掛かると、道の状態が尋常ではなくなってきた。スムースに整った路面が、左右からの藪に大方食われ人一人分の隙間しか残されていない。
さらに進むと舗装も消えた。もはや1人分の隙間も無い。幸い路面はそれほど悪くないので乗れなくはないが、手足に絡みつく藪草は馬鹿にできない攻撃力があるので、サドルバッグからレッグカバーを取り出し、おそらく峠まで続くであろう藪漕ぎに備える。
ここからもまだ何本も洗い越しを横切る。どれもかなりの水量があり、出くわす度になんだか嬉しい。冷たい水流に安らぐ心は、いつまでも鈍らせずに持っていたい。
斜度は引き続き穏やかで、斜面からの土砂崩れも悠々踏み越えられる程度。
土に埋もれた倒木には踏まれて剥げた跡があり、車が通れなくなってどれほど経つのかはわからないが、人の往来はまだあるようだ。
谷筋から離れて2kmほど、標高1200mちょっとの峠までこんな廃道が続く。
峠には思い出したように県道を示す青看板が。富山の県道ともなれば三十番台でこのクオリティの道に出会えるのか、素晴らしいな。
峠から向こうは岐阜県へと帰り、楢峠まで舗装路となる。
楢峠〜角川集落
国道471号線に合流し、すぐそばの楢峠を越える。飛騨市の町並みを見下ろしながら、800mほどのダウンヒル。
角川の集落でR360に合流。標高がだいぶ下がったせいでまた一段と熱い。ここからは天生峠を目指す。
防火湧水槽
それにしても熱い。このあたりの集落には天然の防火水槽があちこちにある。
これだけの水を貯めても一切淀まず、鋭い冷たさを維持できるほどの豊富な湧水が斜面から絶えず流入している。家の近くにこんなのあったらそれだけで幸せだろうな。
そういえばさっきの藪漕ぎからつけっぱなしだったレッグカバーを脱ぎ、じゃぶじゃぶと手で水をすくって身体中にかける。ヒャア冷たい。最高だ。
身体も冷えたし、さあここからが今日のラスボス、天生峠へのドギツい林道が始まる。気合いをいれてさあ出発!!
おっと危ない、さっき防火水槽の縁に置いたレッグカバーを忘れるところだった。サドルバッグへ突っ込んで…
おっととともう一つ、グローブも忘れるとこだった。しっかり手に装着して、よし!!今度こそ!!いくぞ、天生峠!!
天生峠、プロローグ
天生峠へはそのままR360を直進すれば舗装路で到達できるが、それじゃあ面白くない。少し遠回りしたダム湖から頂上付近まで伸びる良さげな未舗装林道がありそうだったので、別の谷筋へと国道を逸れようとした矢先、なにやらおかしな建物が目についた。体育館…?かと思ったのだが、気になったのが右下の小さなアーチ。
「夢ゆき回廊」…?
その奥には夢も希望も無さそうな、どうみても「あけちゃだめだ」な扉がひとつ。
なにやら不穏な気配しかしないが、面白そうなので建物の正面へと行ってみることにした。
山の斜面に立つ施設にありがちな、正面口へ続く急登の進入路。ギアを下げ、小気味よくダンシングしながら一漕ぎ、二漕ぎ、思ったより、斜度、キツイ、な、さあ、勢いよく、踏み込んで、よっ、ほっ、そいygGギャ゛イ゙ッッXiチャ゛ぎョッパPsssッシュー””シhhー………….
次回、メカトラ黙示録 天生峠デスウォーク
メカトラ黙示録ー天生峠闇中行軍
前回からの続き「あああ?????え???????あ!ん??え??あ、そ…???は??」 「いやいやいや、いや、これは、え?なに?折れ…あ、ディレイ…巻き込…なにこれは?なに???パンク???なんで????」「あーエンド…...
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