スルーアクスルの締付時に気をつけること -The END is Near-

雑記
前回の記事の通り、スルーアクスルを採用した自転車のリアエンドの雌ネジがなめた。

スルーアクスルのネジ穴が、なめた。
顛末 コトが起きたのは土曜の深夜。 来週末に楽しい、それはもう悪魔的に楽しいサイクリングをやることになった。ので、ウキウキで自転車整備をしていた。 得物は組んで以来まだ一度しか本格的なサイクリングに投入できていないNESTO ...


「なにもしてないのにこわれた!」なんて喚いていたら、会ったこともないソウルメイト(とおれが勝手に思ってる)のDUNさんから、すぐさま丁寧な図解が届き、原因が判明。

こんなマヌケの戯言に向けて描いてくれていいクオリティじゃねえのよ…ありがてぇ…ありがてぇ…

 

本当にもうこの図解がすべてなんだけど、せっかくだから実際にやってみた記録も交えてここに残しておく。


スルーアクスルのタイプ

まず前提として、スルーアクスルには大きく分けて2種類ある。

シャフトを受ける雌ネジの穴がフレーム本体に直接刻まれているものと、もう一つは別体のディレイラーハンガーに刻まれているものだ。

 

例えば自分の手持ちの自転車でいえば、ロードレーサーのGIANT TCRは後者。


スモールパーツとして購入できるディレイラーハンガーにアクスルを受けるネジが切ってある(厳密にはハンガーと受けの部分も別体)ため、最悪舐めたとしてもこいつを交換しさえすればすぐに復活できる。

 

問題は前者のフレームに直接ネジが切ってあるタイプで、NESTO Claus Proはこれに該当する。


こちらはいざネジ穴が舐めたからと言って損傷部位を容易く交換することはできない。

前回の記事でも触れた通り、修理方法は主に2通り。なめた雌ネジをもう一度切り直すリタップ作業と、それでも無理なら一旦ドリルでネジ山ごと大きく削り飛ばし、内側が同径同ピッチの筒を捩じ込むヘリサートやリコイルと呼ばれる作業になる。

今回は運良くタップの立て直しだけで何とか復活することが出来たが、これがヘリサート作業となるとリアエンドにアクスル径以上の穴を開けることになるため、場合によってはカーボンの積層を痛めて廃車になる可能性もある。

どう考えたって別体型のほうがええやんけ!と個人的には思うのだが、剛性や重量などの面でレースバイクとしてはむしろ一体型のほうが真っ当だったりするらしいので、シクロクロスの競技用フレームをドロップMTBにしてお山で砂利遊びしてるおれに文句を言える筋合いはなかった。

 

発生原因

そもそもなぜネジ穴が舐めたのか。

問題となるのはアクスルの雌ネジが切られたリアエンドとホイールの間に位置するディレイラーハンガーの構造にある。

クラシックな鉄フレームではリアエンドと一体型のものもあるが、最近の自転車では別体の交換可能なディレイラーハンガーがエンドに小さなネジで留められているものが多い。

ホイール側から見た図。

スルーアクスルはこのハンガーの穴を貫通してフレームの雌ネジに挿入されていくことになるが、厄介なことにこのハンガーが、動くのだ。


1箇所だけある固定ネジをしっかり締めても…

ご覧の通り、片手で簡単に位置がずれてしまう。これだと輪行やパンク修理時のホイール脱着に伴ってディレイラーにかかる力だけで容易にズレる。

そのままアクスルを無理矢理挿入してしまうと、斜めに入ったアクスルがフレーム側のネジ山を削り取ってしまうってわけ。


例えばこのように大きくズレていればそもそもアクスルが貫通できずにすぐ気がつくことができるのだが、恐ろしいのはこのズレがほんのわずかだった場合。



毎度のことながら惚れ惚れする引用センスだ。

 

DUNさんに教えてもらうまでここが動くなんて考えてもみなかったが、言われてみれば「なんかアクスルの通りが渋いなー」とか思いながらも何も気づかず締めてた気もする。うん、原因は間違いなくこれだ。

対策

まず第一に、ホイールを正しくセットすること。

スプロケにチェーンをかけて、ホイールの軸をアクスル位置に合わせる。この時、正しい角度でしっかりホイールを押さえてやればホイールとフレームの穴がピッタリ合う位置に収まるはずだが、今回のようにハンガーが動くタイプの場合はここで油断してはいけない。

面倒でもホイール軸の直線上を覗いてズレがないかを目視で確認。

真円、よし!

 

次にアクスルを挿入するが、ここでも油断せず慎重に。

手前のリアエンドからホイール軸を通って反対側のネジ切り地点まで抵抗なくスッと通っているか、指先に意識を全集中。


そして反対側まで着いたらアクスルを締めていくのだが、ここでもアクスルとフレームのネジの「かかり」をきっちりと指先で感じておこう。この時、急に手応えが重くなったりなにか違和感があったら、絶対にそれ以上トルクをかけてはいけない。

ここで無理に回したあと、不意に手応えが軽くなったとしたら、それは愛車の訃報だ

 

あとがき

おれのマヌケっぷりから実働一回で新車をお釈迦にするところだった。

対策はわかった。タイヤの脱着のたびに油断なくこの手順を踏まなければ、次こそ愛車の命はない。

だがたとえどれだけ気をつけていても、忘れるときは忘れる。おれが如何にズボラな人間かは、自分が妻の次によくわかってる。


The END is near.

そんなギリギリで生きてみるのも、案外悪くはないんだけどな。


おしまい

 

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