自分史上最長の未舗装林道。函岳を経て美深に至るスーパー林道の記録。


 

移動日に読み耽ったツーリングマップル北海道55ページ、オレンジの波線から伸びる注釈が淡々と距離を告げる。が、どうにも規模がおかしい。ここをこう行って、こっち行って、ここへ寄って、こっちへ下れば… あれ?余裕で70km超えるな??これ全部未舗装??まじで???

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あばよオホーツク海。結局最初から最後まで灰色だった。

さあここからはふざけてる場合じゃない。当然途中に補給ポイントなんかないのでセイコーマートで昼飯と非常食を買い込んでいざ、グラベリゃあ!!

 

スタートは風烈布(ふうれっぷ)林道。

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川沿い17km、標高200mちょっとまでゆるーく登る。

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未舗装とは言ってもご覧の通り整ったバラスで走破難易度はスーパーイージー。こんなもん楽勝楽sh

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待って。

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ちょっと待って。

後のスーパー林道に比べて人の往来が少ないせいか、路上のいたるところにクマの糞。明らかに人様の縄張りじゃない。当然熊鈴はつけてるけれど、こんなチリチリ鳴るだけの鈴であのカーブの先まで届くだろうか、いや届かない(反語)

話を飛ばして10年前、自分が所属していた大学のサイクリング部には「歌唱指導」という、 入部して間もない新入生が大勢の怖い顔した先輩を前に全員から「マル」をもらうまで大声で校歌を歌わされるという、一見前近代的な風習がありました(今もあるはず)。当時は「なんでサイクリング部で歌わされなあかんねん…」などと思ったものだけど、数カ月後の夏、どこともしれない山の中でその意味を思い知ることになります。以来10年、「ビビりながらでも大声で歌える」という力は、自分の自転車ライフでどれほど役に立ってきたことか。伝統には、意味がある。


閑話休題、歌います。

 

♪あっるっぅ〜日っ!!!森のーなーかっ!!

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こっちは必死なんじゃ何笑とんねん

実際ここが今回の旅で一番ヤバいゾーンだった。路上に次々現れる糞の山。そのいくつかは明らかに湿ってて、ということは…その先は考えずにとにかく歌う。大声で歌う。

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シカ如きの飛び出しにもチビりそうになるが、ちゃんと首があるので粗相には至らない

 

風烈布林道を抜けて、メインのスーパー林道美深歌登線

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自転車よりむしろバイク乗りに有名な道らしく、爆音のオフロードバイクと頻繁にすれ違う。これならクマの心配は無さそう。

 

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道も空も相変わらずのJARIとKIRI。ここまですでに20km以上未舗装路を走ってるけど、まだ3分の1も来ていない。

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タイヤは春の旅から変わらず グラベルキング SK 38c。がっつりグリップの効くタイヤではないけど、北海道の整った砂利道には必要十分。ただしこれくらい砂利が粗くて深いともう少し太さが欲しくもある。

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 延々と登る。低く漂う雲に突っ込んだ頃から急にバイクが来なくなった。熊鈴と砂利を踏む音と自分の呼吸音。歌う元気もなくなってきたので、とりあえずブラインドコーナーの度に奇声を上げる。登山者でもいれば悲劇だが、こんなところで出会う時点でお互いまともじゃないのでノーカン。

 

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ひいこら登ってやっとこさ加賀美峠に到着。ここから函岳までは片道10km400m↑のピストンルート。
どうせここに帰ってくるから、余分なものは置いていこう。

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キャストオフした装備たちを小屋の影にデポして8kg近い軽量化。

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このあたりから待望の晴れ間が。いくらか斜度がキツくなるけど、道はいいのでズイズイ進む。

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左がオホーツク海側。この山が今朝までの濃い雲を堰き止めてた。明日からも精々頑張ってくれ。

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目指す山頂の電波塔が雲間に覗く。

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 なだらかな山体を一直線に掻っ捌くこの上なく贅沢な敷設。空もみるみる青く広くなっていく。最高だ。

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そういえばMASON × HUNT のアルミホイールでは初のロングツーリング。これだけグラベル走ってもノートラブルです。まあ北海道の上品なグラベルなんて100km走ってやっとこさ京都の下り1本分くらいのダメージしかないけどな!!() 

 

山頂目前、道の先にお稲荷様が。

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ちょうど生え変わりの時期なのだろうか、斑の毛皮が趣き深い。しばらく睨めっこした後は虫遊びを始めた。

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電波塔に到着。山頂はすぐそこなので担いでいく。晴れろ…晴れろ…

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着いたー!!!晴れたー!!!

二日間雨に打たれ続けてきた甲斐があった。

熱い日差しと冷たい風のブレンドが体を癒やしてくれる。ここまで50km 1129m↑ずーっと未舗装。楽なはずはないんだけど、不思議と疲労はそれほど感じない。それでもお腹は減ったので山頂の岩に腰掛けて流れゆく雲を眺めながらの昼ごはん。贅沢が過ぎる。

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さあ、ここからはボーナスタイム。貯めた貯金を吐き出すという意味では大散財かもしれないが、とにかく25km 1000m↓ オールグラベルダウンヒルという未体験のゾーンに突入する。日本国内でこんなことができる場所は他にちょっと思い浮かばない。剣山スーパー林道くらい?

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導入したばかりのGRXのスタビライザーをオンにして、いざ!!

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iYAAAAAAHHHHHHHHHHHOOOOOOOOOO!!!!

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以降、林道出口までの写真はない。

GoProを持ってこなかったのが悔やまれる。脳髄が蕩けていくのを感じながら砂利道を下る過去最長のグラベルダウンヒル、ただただ最高だった。

 

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風烈布林道入り口からここまで77km、途中一箇所のトンネル前後を除いて誇張なしのオール未舗装。決して楽な道じゃないけど、グラベル好きなら絶対に行っておくべき国内屈指の未舗装路。北海道に来たならぜひ。

 

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美深に降りてから振り返ると、昨日まで苦しめられた重い雲の魔の手が見える。今日越えてきたあの山がいつまで抑えてくれるのか。

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幸い脚はまだまだ元気だったので日が暮れてからも南下を続け、気づけばこの日も150kmを超えていた。

 

つづく