DT770 PRO LE 32Ω ヘッドホン沼を終わらせた一台
beyerdynamicの88周年記念モデルとして限定販売され、その後あまりの評判の良さにレギュラー化された32Ω版DT770PRO。
音の全部をひっくるめて一言で言うなら、バランスが神。
それこそHD800やT1・T5pとかもっと高音質なヘッドホンも使ったことあるけれど、結局どれも売っぱらって最後に残ったのがこれだった。
年単位でいつまでも聴いていられる音。飽きないし、疲れない、いつまで聴いても音楽や声が心地良い音。本当におすすめ。
要点としては
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- これ一台で約10年飽きずに楽しめた
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- ポータブルユースは嘘。ヘッドホンアンプで大音量で聴け。
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- 解像度も原音忠実度もすべてそこそこなのにバランスが凄まじく良い。
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- 高音質な高級ヘッドホンに飽きたオタクは買え
ちなみにこの限定版の出来があまりにも良かったため、現在では32Ω版が通常ラインナップされています。そちらのレビューと思って読んでもらって問題ないと思います。
<約10年ぶりに買ったヘッドホンのレビューはこちら>
元祖・ベイヤー三兄弟
DT770PROといえば、半開放型の880・開放型の990とともに三兄弟として有名なドイツの beyerdynamic の密閉型ヘッドホン。スタジオユースのモニターヘッドホンとして、海外のアーティストのPVやメイキング映像にも頻繁に登場するので見たことある人も多いかも。
その後テスラテクノロジーを搭載したT70シリーズ、さらには後継機にあたるDT1770シリーズなどが登場しますが、このDT3桁シリーズがその系譜の元祖に当たります。
DT770 PRO LE 32Ω の特徴
本気の発売以前にもDT770 PROには250Ωと80Ω版がありましたが、本機はその後beyerdynamicの設立88周年を記念して発売されたモデルです。低インピーダンスと短いケーブル
32Ωという低いインピーダンス値は当時すでに勢いのあったポータブルオーディオとしての使用を念頭においた設計 (※)これが罠。後述します。
ケーブル長も、3mのカールコードが採用された250Ωモデルとは違って1.6mほどのストレートプラグにステレオミニプラグが標準採用
DT770Mなどと共通の合成皮革っぽいイヤーパッド。これも大事。
音質
最初にも書いたけど、「ポータブルユース」っていうのは完全な罠です。
普通にWalkmanにつないでもそこそこな音しか出ないし、発売から10年近くたった今もっとポータブル性能に特化した音のいい機種は山ほどあるはず。
なんなら自分も持ってるSONYの無線ノイキャン機、WH-1000XM3とかの方が断然使いやすい。
そうではなくて、自宅でちゃんとしたヘッドホンアンプ(自分の場合はFOSTEX HP-A8)につないでがっつり鳴らしてやるとまるで別物のように真価を発揮してくれるので、完全に売り方間違えてる気がする。
音の全部をひっくるめて一言で言うなら、バランスが神。
それこそHD800やT1・T5pとかもっと高音質なヘッドホンも使ったことあるけれど、結局どれも売っぱらって最後に残ったのがこれだった。
年単位でいつまでも聴いていられる音。飽きないし、疲れない、いつまで聴いても音楽や声が心地良い音。本当におすすめ。
もうちょっと細かく言うとこんな感じだけど、字面にするとそんなによく見えないんだよな…
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- 解像度はそんなに高くない
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- 低音の制動は完璧
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- 低音で倍音聞かせるタイプのボーカルはトべる
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- 超高音は出ないが、女性ボーカルの伸びは素晴らしい
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- クラシックはダメ。それ以外何でも行ける
解像度
音の分離はそんなに良くないです。MDR-Z1000みたいにエグいほどバラけさすのではなく、まとまりで気持ちよく聞かせるタイプ。
低音
量はちょい多めくらい。ソリッドな感じではなくそれなりに膨らみはあるけど、他の音と混ざらず邪魔もしないバランス感。特に自分が大好きなBon Iverなんかの低音響かせるタイプのボーカルは耳が蕩けるほど気持ちいいです。なんなら本人がスタジオで使ってるし(250Ω版だけど)。
映画でもモーガン・フリーマンみたいな渋いおっさんの声が心地いいです。
高音
キンキンなる感じは皆無。目立つのは女性ボーカルが気持ちよく聞ける程度の範囲までで、それ以上はあまり得意じゃないと思う。というか自分がそういう音苦手だから聴かない。ジャンル
広い音場で空間的に聴くクラシックだけが唯一苦手。あとは大体全部行ける。ロックもJ-POPもテクノ系も、男声も女声も大丈夫。
映画も声をちゃんと聞きたくなるようなドラマものは合う。逆にごちゃごちゃしたアクション映画とかは別にこれで聴く必要もないが、合わないというほどでもない。
まとめ
ぱっと聴いてめちゃくちゃいい音!!って一台じゃないし、一聴すればもっと高音質(っぽい)ヘッドホンは山ほどあるけど、個人的には今後一生付き合っていくであろうリファレンス機種。超おすすめです。
おしまい
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