発売からかれこれ10年、定番SHUREの開放型モニターヘッドホン。
いつか欲しいなーと思い続けてようやく手に入れたものの、個人的にはいまいちですぐ手放すことになりそうなので餞別レビュー。

発売は2012年。当時から音の評判は良くいつか欲しいなーと思っていたが、気づけば干支が一回りしていた。
ハウジングの形状はゼンハイザーのHD650にかなりよく似ているが、ヘッドバンドやフレームの構造はSRH1840の方がスケルトンチックで持ってみた感じもかなり軽い。
側圧もそれほど強くないので快適性は高め。
頭頂部のパッドが経年劣化で真っ先にダメになるようで、中古市場には既に除去されたものが出回っている。自分が手に入れたものも剥がした後だったが、使用感としては全く問題なく使えた。
「どこで何が鳴っているか」という解像度がめちゃくちゃ高い。特に空間的な位置関係というか、楽器ごとの距離感が整然と目の前に並べられるような感覚。
「音質」だけで言えばめちゃくちゃいい。ただ、あまりにも分解能というか分離感が強くて曲として楽しむための没入感が全然生まれない。
自分の用途が完全に音楽鑑賞だから、そもそもの選択ミスと言われればそこまでだけど、例えば私的ベストホンDT770proも括りでいえばモニターだし、過去にはSONYのMDR-Z1000なんかも気に入って使ってたので、じゃあ違いは何かと考えれば一番大きいのは開放型か密閉型かってところか。
特にMDR-Z1000は一音一音の解像度はSRH1840にも負けないくらい高かったけど、音場はかなり狭くてその分曲としてのまとまりがあった。SRH1840は広い音場に各楽器がきっちり並べられているせいで全体的に薄味で音の密度がないのでイマイチ迫力に欠ける。クラシックなんかを聴くにはこの方がいいのかもしれないけど、自分が主に聴くロックやフォーク・ロック、POPなんかだとちょっとバラけすぎててイマイチ乗れなかった。
分離感の整然さが一気にスポイルされて、色んな音があっちこっちに乱雑にバラけてしまうのでかなり聞き心地が悪い。アンプでここまで鳴り方変わるヘッドホンもそうそうないと思うから、そういう意味では面白いかもしれん。
おしまい
いつか欲しいなーと思い続けてようやく手に入れたものの、個人的にはいまいちですぐ手放すことになりそうなので餞別レビュー。
製品概要
音響機器で有名なSHUREのプロ用開放型モニターヘッドホン。同スペックの密閉型にSRH1540があるけど、音の傾向は割と違うらしい。
SRH1840 - プロフェッショナル・ オープンバック・ヘッドホン - Shure 日本
SRH1840プロフェッショナル・ オープンバック・ヘッドホンは、左右のドライバーの特性を揃えることでスムーズに伸びる高域と正確な低域を実現。これにより圧倒的な音響性能を提供します
発売は2012年。当時から音の評判は良くいつか欲しいなーと思っていたが、気づけば干支が一回りしていた。
外観と装着感

ハウジングの形状はゼンハイザーのHD650にかなりよく似ているが、ヘッドバンドやフレームの構造はSRH1840の方がスケルトンチックで持ってみた感じもかなり軽い。
側圧もそれほど強くないので快適性は高め。
頭頂部のパッドが経年劣化で真っ先にダメになるようで、中古市場には既に除去されたものが出回っている。自分が手に入れたものも剥がした後だったが、使用感としては全く問題なく使えた。
音質レビュー
視聴環境は純正ケーブルでHP-A8へ接続。高音域
広く放散していくので刺さりは全くなくとても自然な音。普通なら耳に刺さるような初期の椎名林檎みたいな曲でもボリューム上げて聴ける。これぞ開放型って感じ。バイオリンとかもめっちゃ上手。中音域
声の立体感はかなりハイレベルでとてもいいんだけど、その長所を前面に出す感はなく、あくまで演奏と同じラインに整然と並んでいるのでイマイチ良さが伝わりにくい。逆に演奏がガチャくてボーカルが埋もれがちな曲でもしっかり声は声として分離して聴こえる。低音域
低音はそれほど量が少ないわけでもないけどかなりタイト。制動が強く効いてるから他の音に被っていかないので、全体の見通しの良さを生んでいる。音場の中で低音が一番遠くから聴こえるのも特徴的で、その分アタック感とかノリの良さみたいなものがだいぶ控えめにされてる。音質総評
これぞ「モニターヘッドホン」でございって感じ。「どこで何が鳴っているか」という解像度がめちゃくちゃ高い。特に空間的な位置関係というか、楽器ごとの距離感が整然と目の前に並べられるような感覚。
「音質」だけで言えばめちゃくちゃいい。ただ、あまりにも分解能というか分離感が強くて曲として楽しむための没入感が全然生まれない。
自分の用途が完全に音楽鑑賞だから、そもそもの選択ミスと言われればそこまでだけど、例えば私的ベストホンDT770proも括りでいえばモニターだし、過去にはSONYのMDR-Z1000なんかも気に入って使ってたので、じゃあ違いは何かと考えれば一番大きいのは開放型か密閉型かってところか。
特にMDR-Z1000は一音一音の解像度はSRH1840にも負けないくらい高かったけど、音場はかなり狭くてその分曲としてのまとまりがあった。SRH1840は広い音場に各楽器がきっちり並べられているせいで全体的に薄味で音の密度がないのでイマイチ迫力に欠ける。クラシックなんかを聴くにはこの方がいいのかもしれないけど、自分が主に聴くロックやフォーク・ロック、POPなんかだとちょっとバラけすぎててイマイチ乗れなかった。
これまで使ったヘッドホンとの比較
SENNHEISER HD650
同じ開放型で形状も似ているけど、HD650のほうがかなり低音寄りで、ある程度の粗は隠しながらゆったり鳴らしてくれる。ただ低音の制動は圧倒的にSRH1840が上。どっちもあまりロックには向かない。HIFIMAN ANANDA
笑うくらいキャラが真逆。とにもかくにも真っ先にボーカルをぶっ刺しに来るANANDAを聴いた後にSRH1840を使うと「うわあ!いきなり落ち着くな!」のデスノコラが浮かぶ。MDR‐SA5000
低音を捨てて解像度に全振りしたSA5000に比べると、まだSRH1840 のほうがバランスがいいと思う。人生で初めて買った高級ヘッドホンだけど、冷静に考えたらあれはピーキー過ぎた。好きだけど。バランス化&ヘッドホンアンプとの相性
ここまでのレビューはHP-A8にノーマルのケーブルで聴いたものだけど、これをバランスケーブルに付け替えてEF400で聴くとちょっとびっくりするくらい音が変わる。しかも悪い方に。
分離感の整然さが一気にスポイルされて、色んな音があっちこっちに乱雑にバラけてしまうのでかなり聞き心地が悪い。アンプでここまで鳴り方変わるヘッドホンもそうそうないと思うから、そういう意味では面白いかもしれん。
あとがき
モニターヘッドホンとしての完成度は多分今まで使ってきたヘッドホンの中でもピカイチだと思う。ミキシングとかマスタリングとかで、音楽制作の場面で本来のモニター用途として録音の粗探しをするならこの上ない機種だと思うけど、今回は完全にミスマッチだったな。それもまたよし。おしまい
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