干支が一回りする間、不動のマイベストヘッドホンであり続けたBeyerdynamic DT770 pro LE 32Ω(88周年モデル)。
それから12年、同社100周年を記念して発売されたのが今回のDT770 pro X。Beyer好きとしては買わない理由が無かった。
先のLEは従来の770proシリーズの派生として、インピーダンス値とイヤーパッドを変更したものだったけど、今回のpro Xはドライバーに最新のテクノロジーを用いたSTELLAR.45 ドライバー(45mm)が搭載され、ケーブルには3ピンのミニXLR仕様でリケーブルも可能と大幅にアップデートされている。
イヤーパッドは従来通りのベロア系。酷使すると厚みが減ってくるが、補修用パーツも豊富なので無問題。
密閉型のハウジングは形状こそ共通だが表面の仕上げが異なり、梨地っぽいスムースな質感になっている。
あとは100周年の刻印とか、
ヘッドバンドにもロゴが付くようになった。
簡易のロゴ入りバッグも付属。
LEと比べても全体的に周年モデルとしての特別感がよく出ている。
もともとベイヤーのサウンドといえば良くも悪くも刺さり気味の高音が特徴としてあったので、らしいといえばらしいけど、例えば990PROではたまに感じた頭打ちしてヒスったような甲高さが770PRO Xでは全然なくて、ちゃんと上まで伸び切ってる抜けの良さがある。
中域からローにかけては、レガシー機のよくいえばムードのある、悪くいえば少しブーミーな感じよりもかなりソリッドで、音がしっかり止まっているので音像がかなりハッキリする。このあたりは昔持ってたSONY のMDR-Z1000と似てるかも。
解像度も普通にいい。音が団子になることはないし、Z1000やSRH1840で感じた分離感が強すぎて音楽としてまとまりに欠けるようなタイプでもなく、リスニング用途としてちょうどいい塩梅だと思う。
音場は普通。特に広さは感じないけど、ちゃんと音源ごとの距離感は感じられるだけの空間描写力はある。
ベイヤー3兄弟を長年使ってきて、中でもやっぱり770系が一番好きなんだけど、その理由の一つが密閉型故のハウジング内での反響音が生み出す独特の余韻というか響きの良さがある。LEはその極致みたいなやつで、Xはさすがにそこまではいかないけど、それでもかなり好みの響き方。
解像度は間違いなくXが上だし、特にボーカルあたりの中低音の見えやすさはこれまで不満のなかったLEに付け替えると少し埋もれて感じる。
特にスピード感のある現代的なサウンドでドライバー性能の差がハッキリ出るので、最近のJPOPをメインで聴くなら確実にXが強い。
全体的な性能は従来機と比べてもかなり高い。
比べるとXはテキトーなイヤホンジャックにさしてもそこそこ鳴る印象。エッジの効いた音の癖はヘッドホンそのものの特徴として支配的なので全体的な傾向は変わらないが、でもやっぱり空気の「濃さ」には物足りなさを感じるので、あるに越したことはない。
…そういやアンプも更新しちゃった。SPL の Phonitor SE自転車に乗れない冬の鬱屈が全てヘッドホンで解放されてしまったんだ。おれはわるくない。
LEとはまた違った方向性だけど、かなり自分の好みではあるので購入依頼、手持ちヘッドホンの中でも使用頻度はトップレベルに高い。
別にベイヤーだけにこだわって集めてるわけでもないんだけど、770/880/990proの三兄弟にこのXと、結果として4台常駐してしまっている。なんか耳に合うんだよなあ。
おしまい
それから12年、同社100周年を記念して発売されたのが今回のDT770 pro X。Beyer好きとしては買わない理由が無かった。
スペック&外観


先のLEは従来の770proシリーズの派生として、インピーダンス値とイヤーパッドを変更したものだったけど、今回のpro Xはドライバーに最新のテクノロジーを用いたSTELLAR.45 ドライバー(45mm)が搭載され、ケーブルには3ピンのミニXLR仕様でリケーブルも可能と大幅にアップデートされている。

イヤーパッドは従来通りのベロア系。酷使すると厚みが減ってくるが、補修用パーツも豊富なので無問題。

密閉型のハウジングは形状こそ共通だが表面の仕上げが異なり、梨地っぽいスムースな質感になっている。

あとは100周年の刻印とか、

ヘッドバンドにもロゴが付くようになった。

簡易のロゴ入りバッグも付属。
LEと比べても全体的に周年モデルとしての特別感がよく出ている。
仕様 | 内容 |
---|---|
トランスデューサータイプ | ダイナミック |
動作原理 | 密閉型 |
装着スタイル | オーバーイヤー |
周波数特性 | 5 – 40,000 Hz |
公称インピーダンス | 48 Ω |
音圧レベル (SPL) @1mW/500Hz | 98 dB |
音圧レベル (SPL) @1V/500Hz | 112 dB |
全高調波歪率 (T.H.D.) @500Hz | < 0.05 % |
最大短時間許容入力 | 210 mW |
周囲ノイズ減衰量 | 16 dBA |
ヘッドバンド圧力 | 5.5 N |
重量 (ケーブル除く) | 305 g |
ケーブルの長さ・タイプ | 3 m / ストレート接続ケーブル、着脱式、片出し |
接続端子 | 金メッキステレオミニプラグ (3.5 mm) および 1/4インチ (6.35 mm) アダプター |
音質レビュー
従来機から更新されたSTELLAR.45ドライバーの影響は絶大で音の鳴り方は全くの別物。高音も低音も全体的にかなりエッジの効いたメリハリのある音になってる。
もともとベイヤーのサウンドといえば良くも悪くも刺さり気味の高音が特徴としてあったので、らしいといえばらしいけど、例えば990PROではたまに感じた頭打ちしてヒスったような甲高さが770PRO Xでは全然なくて、ちゃんと上まで伸び切ってる抜けの良さがある。
中域からローにかけては、レガシー機のよくいえばムードのある、悪くいえば少しブーミーな感じよりもかなりソリッドで、音がしっかり止まっているので音像がかなりハッキリする。このあたりは昔持ってたSONY のMDR-Z1000と似てるかも。
解像度も普通にいい。音が団子になることはないし、Z1000やSRH1840で感じた分離感が強すぎて音楽としてまとまりに欠けるようなタイプでもなく、リスニング用途としてちょうどいい塩梅だと思う。
音場は普通。特に広さは感じないけど、ちゃんと音源ごとの距離感は感じられるだけの空間描写力はある。

ベイヤー3兄弟を長年使ってきて、中でもやっぱり770系が一番好きなんだけど、その理由の一つが密閉型故のハウジング内での反響音が生み出す独特の余韻というか響きの良さがある。LEはその極致みたいなやつで、Xはさすがにそこまではいかないけど、それでもかなり好みの響き方。
解像度は間違いなくXが上だし、特にボーカルあたりの中低音の見えやすさはこれまで不満のなかったLEに付け替えると少し埋もれて感じる。
特にスピード感のある現代的なサウンドでドライバー性能の差がハッキリ出るので、最近のJPOPをメインで聴くなら確実にXが強い。
全体的な性能は従来機と比べてもかなり高い。
音量の取りやすさ
インピーダンスは48Ωの100dbで、それほど鳴らしにくいわけではないが、これはあまりあてにならない。LEは32Ωと、数値上はさらに一回り鳴らしやすい仕様だったけど、ちゃんとしたアンプで破綻なく音量を上げた時の鳴り方が特に素晴らしかった。比べるとXはテキトーなイヤホンジャックにさしてもそこそこ鳴る印象。エッジの効いた音の癖はヘッドホンそのものの特徴として支配的なので全体的な傾向は変わらないが、でもやっぱり空気の「濃さ」には物足りなさを感じるので、あるに越したことはない。

…そういやアンプも更新しちゃった。SPL の Phonitor SE自転車に乗れない冬の鬱屈が全てヘッドホンで解放されてしまったんだ。おれはわるくない。
あとがき
100周年モデルのDT770PRO X、ドライバーの違いによる差は絶大で従来機とはかなり音の傾向は違い、特に解像度の大幅な上昇を感じるけれど、「鳴り方」は伝統の770シリーズの血脈を確かに感じる。LEとはまた違った方向性だけど、かなり自分の好みではあるので購入依頼、手持ちヘッドホンの中でも使用頻度はトップレベルに高い。

別にベイヤーだけにこだわって集めてるわけでもないんだけど、770/880/990proの三兄弟にこのXと、結果として4台常駐してしまっている。なんか耳に合うんだよなあ。
おしまい
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