JBL L52 Classicを自室のデスクトップスピーカーとして導入して、気づけば2年半。誇張ではなく毎日使用している。
導入して2週間の時点で書いたファーストインプレッションに、長く使ってわかった音の変化、アンプとの相性、狭い机での設置のコツを追記して、長期レビューとしてまとめ直した。
結論:L52 Classicは「音を分解して聴く」より「曲を空気ごと浴びる」スピーカー
- 向いている人:ボーカルやアコースティック、ジャズのように余白のある曲が好き/奥行きの浅い机に置きたい(前面バスレフ)/見た目も部屋になじませたい
- 向いていない人:音数の多いロックや打ち込みをキレよく聴きたい/モニター的に細部を聴き分けたい
- 組み合わせ:卓上の小型アンプ TEAC AI-303 で鳴らしている。デスクトップの距離ならパワーは十二分

JBL L52 Classic
オーディオの老舗JBLのラインナップの中でも比較的小ぶりなパッシブスピーカー。その昔あったL100シリーズの小型版として2021年に登場したL52 Classic。
自室のデスクトップでの音楽環境をアップグレードしようと考えたときに、サイズや構造など後述する諸々の条件ががちょうどよかったので思い切って導入してみた。
前半は導入から2週間時点のファーストインプレッション、後半に2年半使った長期レビューを追記している。
<追記>
合わせて使ってるTEACの卓上アンプについてはこちらの記事をどうぞ。
JBL L52 Classicのスペック・サイズ
| 形式 | 2ウェイ・ブックシェルフ型(前面バスレフ) |
|---|---|
| ウーファー | 133mm ピュアパルプコーン |
| ツイーター | 19mm チタンドーム |
| 周波数特性 | 47Hz〜24kHz(-6dB) |
| インピーダンス | 4Ω |
| 出力音圧レベル | 85dB(2.83V/1m) |
| 推奨アンプ出力 | 10〜75W |
| サイズ(グリル込み) | 幅196.6 × 高さ330.2 × 奥行216.2mm |
| 重さ | 5.0kg(1本) |
| カラー | ブラック/バーントオレンジ/ダークブルー |
アンプを内蔵しないパッシブスピーカーなので、鳴らすには別にプリメインアンプが必要。Bluetoothやパソコンから直接は鳴らせない。
購入経緯

これまでデスクトップ環境で使っていたのはSONYのコンパクトオーディオシステムCAS-1。これがまた出来が良かった。
USB-DAC付きのデジタルアンプと超コンパクトなパッシブスピーカーのコンポで、特にプリセットのイコライザー機能が秀逸。小音量でも音がぼやけず、キレのいい音を鳴らしてくれていた。一代で廃盤にしたSONYの正気を疑う。
が、新居で自室が隔離されボリュームを上げて音楽を流せるようになると、どうしても欲が出てもっと「圧」のある音が欲しくなってくる。いい声したシンガーの歌を、ちゃんと空気を震わせて脳と身体にキかせたい。そんなトリップ装置としてのスピーカーが欲しい!というのが事の始まり。

そうなってくると、必要なのは声を身体に響かせる低音なんだけど、さすがにCAS-1の駆体サイズでは力不足が否めない。
ボーカルの空気感までしっかり下支えできる低音を出せて、それでいてこのデスクトップ環境に収まる良さげなスピーカーはないものか、といろいろ検討してたどり着いたのがこのL52だった。
机上で活きるフロントバスレフ
壁に面した机上の32インチディスプレイ横が設置場所。幅と高さはそこそこ余裕があるけど、問題は奥行き。
大半のスピーカーはバスレフポートという低音の逃がし穴が背面にあり、音質的にはここと壁との距離が最も影響が大きいポイントらしい。
だが、自室は壁面からディスプレイ前面までが25cmほどしかなく、とはいえ卓上の作業スペースは確保したいので、なるべく画面とスピーカーはツライチ付近に収めたい。そうすると最低限10cmの距離を取るだけでも、実質CAS-1クラスの小型スピーカーが限界ということになってしまう。
ここでCAS-1とL52のサイズを比較してみよう。

| モデル | 幅 (cm) | 高さ (cm) | 奥行き (cm) |
|---|---|---|---|
| SONY CAS-1 | 9.5 | 17.8 | 17.2 |
| JBL L52 Classic | 19.7 | 33.1 | 21.6 |
幅と高さはそれぞれ倍ほどにサイズアップ。奥行き21.6cmは、このクラスのブックシェルフ型スピーカーの中ではコンパクトな方ではあるけど、置けば後ろの壁まで5cmと余裕はまったくない。
それでもこのL52の導入を決めたのは、このスピーカーが珍しくフロントバスレフ構造を採用していたから。

向かって左上、顔に見立てれば右目にあたる黒い穴がそれ。気休め程度かもしれないけれど、少なくとも至近距離の壁にぶつけて音のバランスを崩すよりはマシなはず。

32インチディスプレイの左右に配置してこんな感じ。
左の袖机が微妙に低いので、適当な木片と金属板で揃え、昔買ったAudio-technicaのインシュレーターをかませた。

後ろの壁との隙間は5cmほど。
外観
いくらサイズや機能で絞っても毎日向き合うものなので趣味に合わない面は困る。

でもこの佇まいなら文句なし。かっこいいというより、収まりがいい。

ロゴ部にあるつまみは高音の調整用。標準で特に違和感ないからそのまま使用している。

背面のケーブル端子。バイワイヤには対応していないけど、フルサイズアンプを使うわけでもないので問題ない。

付属のカバーは特徴的なサイコロ状のスポンジっぽい質感。ホコリが溜まりそうで心配だけど、半月使った現段階では気になるほどの汚れは無い。
他にもオレンジと水色の目立つカラー展開があるけど、無難に黒にした。オレンジを選んで部屋のアクセントにしても良かったかもな、と今になって思うが、グリルだけでペア2万円以上するみたいで白目向いた。
音質
L52の肝心の音は、キャラクターがはっきりしていて得意不得意が明確に分かれる。
傾向としては明確に低音寄りで、雑に言えば音がトロい。疾走感のあるロック系の曲では、少し先走ってちょうどいいくらいのギターがまったり耳に届いてきて「ちゃうねん…!!」ってなるし、それならまだCAS-1でボリューム上げる方がノリ良く聴ける。フロントバスレフとはいえセッティングが壁から近すぎて低音が膨れてるのはあると思うけど、それを差し引いてもキレのあるタイプではない。
解像度もそれほど高くないので、打ち込み系や邦ロックのような音数の多い曲ではどうしてもごちゃごちゃしてしまって、分析的に聴くには向いていない。
逆にボーカルが楽器を導くような落ち着いた曲にはこの上ないハマり方をする。何の気なしに流したJoni Mitchellの”Blue”が良すぎて久々にアルバムぶっ通しで聴かされてしまった。
人、皆須らく”Blue”を聴いて死すべし。
L52の良さ、文字で説明するのが難しくて、というのも言葉にできる「音質」の範囲ではそんなに飛び抜けた魅力がない。高音・低音・解像度・定位感、個々の要素に分解すればどれも「それなり」とか「普通に良い」くらいしか言えない。
でも曲として浴びたときのまとまりの良さと、少し部屋の気圧が上がったように感じるほどのぐっと迫る空気感の出し方が半端なく上手い。
なのでそもそも曲自体に「空気感」を感じられるだけの隙間が無い打ち込み系とか、やたら音数の多いロックなんかは相性最悪で、逆にちゃんと引き算ができてて、しっかり「余白」を楽しめるだけの余裕のある曲はめちゃめちゃいい雰囲気で鳴らしてくれる。
自分は聴かないけど確かにJBLがJAZZに合うというのも頷ける。これが所謂『JBLサウンド』ってやつか…
追記:2年半使った長期レビュー
導入から2年半、ほぼ毎日鳴らしてきて変わったこと、変わらなかったことを追加としてまとめておく。
音の印象
導入直後は「明確に低音寄りで、雑に言えば音がトロい」と書いたが、その印象は今も変わらない。
ただ設置場所が自宅の書斎で、リスニングの時間は主に夜。仕事やブログの執筆のBGMとして鳴らす落ち着いた音楽にめちゃくちゃ合うので全く悪い印象はない。
あとは定位感の良さ、これも長く使えば使うほど気に入ってきたポイント。リビングには65インチのテレビの横にトールボーイスピーカー(KEF R900)を設置しているが、音の迫力はともかくとして音像の定位感はL52 Classicの圧勝。おそらくルームアコースティックとかそういったことも関係しているんだろうけど、卓上スピーカーとしてはこの上ない働きをしてくれている。
アンプとの相性
L52 Classicはインピーダンス4Ω、出力音圧レベル85dBと、小型スピーカーの中でもやや鳴らしにくい部類に入る。とはいえデスクトップの近い距離で聴くぶんには、大出力のアンプは要らない。
導入時から合わせているアンプはTEAC AI-303。こちらについては別途レビューしているが、多機能かつコンパクトでパワーも必要十二分の凄いやつ。
一度手持ちのNR1200やPMA-900HNEで鳴らしてみたこともあるが、それほど大きな変化は感じず、設置スペース的にも無理があったのですぐやめた。
卓上での設置や掃除など
後ろの壁まで5cmしかない書斎のデスクで2年半使ってきたが、特に当初から大きな変更はしていない。埃が気になるかと思っていたサイコロ状のグリルも年に一度の大掃除のときに軽く掃除機で吸う程度で特段汚れた様子もない。
2年半使った結論
買って大正解。満点。卓上スピーカーとして現状これ以上を求める気すらおきていないので、たぶん壊れるまで使う。壊れなければ一生物の買い物になる予感。
「合う」曲
説明が難しいので、このスピーカーに合うおすすめの曲をいくつかリストアップしておく。
どれもめちゃくちゃ好きな曲。音楽の趣味が合う人間に出会ったことが今まで殆ど無いので誰に刺さるかはわからないけど、せっかくだから聴いてって。
Waxahatchee – “Write Back to It”
十年以上前から推してる。最近PitchforkでもBest New Tracks入りしててガッツポーズした。
ボーカルの余韻まで含めた素朴な空気感が広がるのがすごい。これはヘッドホンじゃ出せない。
TV on the Radio – “Staring at the Sun”
TV on the Radioを知らないなら『Dear Science (2008)』だけでも聴いて。すごいから。
これくらいガッツリ鳴らしてても、ちゃんと「匂い」のある曲ならしっかり音に乗せて漂わせてくれる。
BON IVER – “Heavenly Father”
ラストは15年間聴き続けてるBON IVER。
正直何で聴いても素晴らしいのでよくわからん。とにかく聴いてけ。
あとがき
ということで最後は趣味がだだ漏れてしまったけれど、導入時と2年半経ったL52 Classicの紹介でした。

これを超える卓上スピーカーをおれが欲する日がくるのか。少なくとも向こう10年は安泰だと思いたい。
おしまい


























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