【長期レビュー】Marantz NR1200を4年使って感じたことまとめ

プリメインアンプ

新居への引っ越し時、リビングには65インチのテレビと、両サイドにトールボーイ型スピーカーを設置することにした。

2chなのでAVアンプは必要ないが、テレビとのHDMI接続はしたい。加えて音楽再生はspotifyが基本なのでネットワークオーディオ機能も必須。これらの条件を充して比較的安価だったのがマランツのNR1200だった。

4年近く使ってそろそろ色々と良い点悪い点が見えてきたので、まとめておく。

NR1200の概要と特徴

ざっくり言えばマランツのプリメインアンプとAVアンプの間の子ような機種。

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最大の特徴はHDMI端子を備えていることで、5入力1出力、eARC対応。テレビやゲーム機を直接つないで、そのまま外部スピーカーで鳴らせる。そこだけ見れば完全にAVアンプだが、音声出力は純粋な2ch設計。

ネットワーク機能も充実していて、HEOSアプリでSpotifyやAmazon Music、インターネットラジオの再生ができる。AirPlay2にも対応し、iPhoneからワンタップで音を飛ばせる。

外観はスリムで控えめ。奥行きが短く、リビングのAVボードにもすっきり収まる。実際上位のModel 40Nは奥行きサイズがテレビ台に収まりきらず断念することになった。

型番 Marantz NR1200
アンプ構成 ステレオ(2ch)レシーバー
定格出力 75W+75W(8Ω、20Hz〜20kHz、THD 0.08%)
対応インピーダンス 4〜8Ω
入力端子 HDMI×5、光デジタル×1、同軸デジタル×1、アナログ×3、フォノ×1
出力端子 HDMI(ARC)×1、サブウーファー×2、ヘッドホン×1
ネットワーク機能 HEOS、AirPlay 2、Bluetooth、Spotify Connect、Amazon Music、TuneIn
Wi-Fi 2.4GHz/5GHz デュアルバンド
Bluetooth Ver.4.1、A2DP/AVRCP対応
DAC 192kHz/24bit 対応
外形寸法 440(W)×105(H)×370(D)mm
質量 7.9kg

音質レビュー

2chのプリメインアンプとして、主にSpotifyのネイティブ再生で使用。

合わせるスピーカーはトールボーイ型のKEF R900。ちょうど引っ越し時に安く手に入ったから思い切って導入したが、正直アンプに対してオーバースペック。音量など最低限の駆動力には問題無いが、スピーカーの実力は全く出し切れていないような気がする。

全体的に音の輪郭が甘く楽器にもボーカルにも実体感が薄い。流し聞きする分には問題ないが、低域はやや量感寄りで沈み込みが浅くふくらみがあって制動が弱い。重低音を押し出すタイプではなく、ベースラインを音楽の中で穏やかに支える印象。アタックもやや緩めだが、リズムの芯はぶれない。速いビートでも置いていかれる感じはなく、ゆるいながらも粘りがある。

中域はボーカルが曇り気味で音の密度が薄く感じる。定位は安定している。解像度を誇示するタイプではなく、全体のまとまりを優先といった印象。

高域は明るすぎず暗すぎず、あくまで滑らか。シンバルや弦の響きは自然で、金属的な刺さりはない。

正直全体的な音の印象は購入当初からそれほど良くない。スピーカーの実力を考えれば、アンプを変えたらもっといい音になるんだろうなぁ、とは常々思っている。

デスクトップ環境でJBL L52 ClassicにTEAC AI-303で駆動しているが、音質という観点では圧倒的にこちらのほうが良く聞こえる。

部屋の大きさやボリュームの違いもあるので、一概に比較はできないけれど、2chのプリメインアンプとしてはそれほど優れた音質を持った機器ではないというのが正直な印象。

操作性・接続性

操作性はおおむね安定している。Spotifyのアプリ画面から機器を選択し、再生ボタンを押すと電源が入り4〜5秒ほどで音が出る。1曲目の冒頭数秒が飛んだ状態でスピーカーから音が出るので、その点が不満といえば不満だが、アンプの起動時間を考えればこれでもだいぶ検討している方だと思う。

Bluetooth機能については、Spotifyがネイティブ再生できるのに、わざわざ無線で劣化した音を飛ばす理由もないので一度も使ったことがない。

HDMI eARCでのテレビ接続について

HDMI eARCについては、購入当初こそテレビとの連携で使用していた。リモコン連動も問題なく、テレビ電源のオンオフとの同期も多少のラグはあるものの比較的安定していて問題はなかった。

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ただ、テレビ番組の音声、特にニュースやバラエティなど、人の声を中心に聴くときはテレビ内蔵スピーカーの方があきらかに明瞭で、NR1200経由だと音が引っ込んでしまい聴き取りづらかった。映画視聴の際は当然スピーカーを通したほうが迫力があるが、本当に集中して見たいときは自室のモニター環境での視聴となるので、最終的に自分のリビング環境では、テレビはテレビ単体、音楽はNR1200という棲み分けになった。HDMI ARCの機能は便利だが、目的によっては使い分けが必要だと感じる。

その他長期使用で感じたデメリット

その他にも長く使う中で致命的ではないけれど毎日の積み重ねの中で不満な点もいくつか。

ひとつはファームウェア更新のたびに動作が不安定になることがある点。アップデート直後にHEOSアプリの接続が途切れたり、ネットワーク再生が一瞬止まることがあった。時間が経つと落ち着くが、更新後しばらくは様子を見た方がいい。

あと音量について、テレビ(SONY BRAVIA)との連携時の音量操作のレスポンスが悪い。長押ししてもゆっくりとしか音量が上下せず、押しっぱなしにしているとちょうどいいところから行き過ぎてしまうことがあってストレスが大きい。メーカーの異なる機種間でのやりとりなので仕方ないのかもしれないけれど、操作回数の多い動作だけにもう少しどうにかしてほしいところ。

買ってすぐ購入を後悔するほど大きな欠点ではないが、結局チリツモでテレビ接続はしなくなってしまった。

あとがき

リビングでテレビも音楽もいい音で聞きたい、という目的のために導入したけど、結局リビングでじっくり映画を見る機会も限られている上に、ニュースなどをさっと見たいときの微妙なレスポンスの悪さがストレスとなってTVとの接続はしなくなった。

そうなると実際の運用としてはネットワーク機能付きのプリメインアンプという事になり、であればそちらに特化したモデルを選んだほうが音質的なメリットも大きそう。

買い替えるならネットワーク機能もついてるDENONのPMA-900HNEあたりかなあ。KEFのトールボーイをまだ満足にならせたことがないので、そろそろ活躍させてみたい。

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