年明けの発売と同時にネットで話題になったパナソニックのHi-FiオーディオブランドTechnicsのフルワイヤレスイヤホンEAH-AZ100。基本ヘッドホン派なのでやり過ごすつもりでいたが、夏場に蒸れず使い勝手の良いイヤホンが欲しくなってきた。
BOSE ULTRA OPEN EARBUDSが期待外れで手放した直後だったし、フルワイヤレスイヤホンという構造自体が自分には合わないのではと感じていたので、有線回帰も視野に電気屋を巡り、まあ話題だったし一応試聴しとくかと思ったところまでは記憶がある。おかしいな。
外観
ケースは特に特徴なく、大きさもまあこんなもんかなという程度。カバーやカラビナ等をつけたほうが安心だけど、不精してそのまま使っている。滑りやすいので本体取り出し時には注意が必要。
装着感
音質もさることながら、そもそも購入検討の俎上に載った最大の理由は装着感の良さによるもの。
自分はかなり耳が小さく、例えば前作に比べて小型化したSONYのWF-1000XM5も耳への収まりが悪くて不安定だったので購入を見送ったほど。
一方このAZ100は本体のサイズの小ささに加えて形状も円形に近く、店頭で軽く試しただけでも耳への収まりの良さが段違いに良かった。購入後も不意に外れたことは一度もなくとても満足している。
音質レビュー(詳細)
従来のワイヤレスイヤホンの弱点だった低音の膨らみに起因する全体的な音の輪郭のぼやけがなく伸びもあるしザクザクとしたエッジをちゃんと感じる。
高音域はクリアでエッジが効き、シンバルの余韻やアコースティックギターの生っぽい感じがちゃんと出る。ウリの磁性流体ドライバーの効果か知らないが、刺さりのない抜けの良さが聞きやすい。
中音域は厚みはあるけどボーカルの押し出しは控えめで、演奏とのバランス重視って感じ。
低音域はフルワイヤレスとしては破格に締まりがあって、量感よりも制動を重視したようなタイトな鳴り方をする。ベースやキックが膨らまないので他帯域を覆い隠さず、リズムのドライブ感もきっちりキレてる。音場は広さよりも、濃密で充実した密度感が特徴で、音の層が前方に凝縮して迫ってくる。
ジャンル別での印象
- ロック:音の制動、スピード感はかなり良い。低音のアタック感は標準的なので、ロック特化ではない。
- ジャズ:管楽器がちょい苦手?生音の瑞々しさは期待するラインよりちょい薄い。
- ポップス:音の密度の高さで迫力もノリの良さもあって合う。ボーカルのヌケもいい。
機能・操作性レビュー
ペアリングのしやすさ
iPhoneでの使用では、最初のペアリング設定移行一度も接続のトラブルはなし。接続速度も耳に装着して再生ボタンを押す一連の流れで間に合わなかったことが無い。安定感は抜群。
接続の安定性
再生途中に接続が切れたことは一度もない。大阪駅などかなり混雑した場所でのみ、ふとした拍子に一瞬ブツっとノイズが入ったことは数回あるけど、極めて稀。実用上のネガは感じていない。
操作性(ボタン/タッチ)
AZ100に限らず本体へのタッチでの操作は、手をわざわざ耳元まで持ってくるのが煩わしい。ボリューム操作程度ならポケットのiPhoneのサイドボタンに手を伸ばしたほうが早いが、曲送りなどはポケットからiPhoneを出して操作するよりタッチ操作(三連打)でやったほうが早い。
ANC(ノイズキャンセリング)性能
必要十二分。
毎日通勤で使用しているが、周囲のノイズが気になったことはない。地下鉄の車内でも全く問題なく音楽を追える。
外音取り込みの自然さ
とても優秀。これまで使ってきたイヤホンの中では最も自然に感じた。個人的に耳にイヤホンつけっぱなしで人と会話するのにはかなり抵抗があるので極力使いたくはないが、切り替えもストレスなくスムーズなので、通勤途中のコンビニの買い物などではついつい多用してしまう。
体感運用上のバッテリー持ち
ケース込みで約24時間が公称スペックのようだけど、実際の運用としては片道45分の通勤でおよそ2週間ほどでケースのランプが赤になる。充電はUSB-Cとワイヤレス充電にも対応していて、急速充電は15分で90分動き必要十二分。
他モデルとの比較
Bose Ultra Open Earbuds
BOSEのオープン型は、音質が好みではなさすぎたことに加えて、装着時の耳たぶへ巻き付ける一手間が片手では難しく時間がかかり鬱陶しくて常用に耐えなかった。AZ100は有線イヤホン並の音質のよさと軽く押し込むだけで装着できる容易さから、日常での運用にはほとんどストレスを感じていない。
SONY WF-1000M5 / Sennheiser Momentum True Wireless(視聴のみ)
ヨドバシで1000M5やMomentum TWなどと聴き比べてみたが、そもそも耳の小さい自分にはまともに装着できたのがこのAZ100だけだった。また音質面でも、他の2機種はワイヤレス機特有の低音のボワついた感じが残っていたが、AZ100ではそこがうまく抑えられて他の帯域を邪魔しないいい塩梅に収まっており、総合的な音質の差はかなり大きく感じた。AZ100登場以前にもこの2機種は視聴していたが運用の手間を上回る音質の良さを感じられず、フルワイヤレスイヤホンの導入自体を迷っていたが、AZ100を視聴した瞬間購入を決意した。
価格に対する満足度
現状これを越える使い勝手と音質を両立したイヤホンが見当たらないので妥当。たぶん5万でも買ってた。
まとめ
フルワイヤレスイヤホンとしては音質・装着感・機能性の面で頭一つ抜けた性能があると思う。特に自分のような小さい耳族の人間には待望の、ちゃんと安定して嵌まる高音質ワイヤレスホンなので、ぜひ検討してほしい。
暑い夏にヘッドホンのMomentum 4の代打として導入したが、場合によっては秋口以降もこのまま続投させるかもしれないな、という予感もある。ネット上で絶賛記事ばかりで眉唾だったが、確かにいいものだったのでとてもおすすめ。
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