【レビュー】FIIO FT1 | 価格破壊級の高音質を誇る密閉型ヘッドホン

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ヘッドホン

FIIOといえば中華オーディオの雄。DAPやUSB DACのイメージが強いけど、近年はヘッドホンにも力を入れていて、2024年に発売されたこのFT1はFIIO初の密閉型ヘッドホンにあたる。

購入からしばらく使ってみて感想も固まってきたので、音質や使用感についてレビューしておく。

初めに結論から言っておくと

  • 2万台の値付けは破格。値段三倍でも文句なしのハイレベルにまとまった音質。
  • 多少フォーカスは甘いが、リスニング用途としては理想的な柔らかさのある音。
  • 装着感自体は悪くないが、しっかり重い。
  • 付属品は充実しているが、まさかの製造ミスもあった。
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スペック

形式 密閉型(クローズド)
ドライバー 60mm径ダイナミック型(木質繊維振動板)
周波数特性 10Hz – 40kHz
インピーダンス 32Ω
感度 98dB/mW@1kHz
重量 約340g(ケーブル除く)
ケーブル 着脱式・両出し 約1.5m×2本付属(3.5mm / 4.4mmバランス)
付属品 キャリーケース、6.35mm変換アダプター

インピーダンスは32Ωと比較的鳴らしやすい部類。デカいし重いのでポータブル用途には厳しいか。

が、2万円台のヘッドホンとは思えないしっかりしたキャリングケースも付属してくる。

さらには純正でバランスケーブルも付属。絡まり防止のコードタイも付属しているので至れり尽くせり。どうやってこの値段で作ってるんだ…?

外観・装着感

天然木を使ったハウジングが特徴的。

個人的にはヘッドホンはベイヤーみたいなメカメカしいのが好きなので、ウッドハウジングにはそれほど魅力を感じていないが、大きな削り出し面の木目の模様は当然ながら左右でも異なり、価格以上の高級感を感じる。

ただ、大径の木をイヤーカップに用いた弊害か、重量はかなり感じる。1〜2時間の仕様で首に負担を感じるほどではないが、丸一日使い続ける気にはならないかな。

またイヤーパッドはかなり分厚く、耳をしっかりとパッドで覆うような形になっており遮音性はそこそこ。DT770proよりは高いが、HD620Sよりは低いと言ったところ。(余談だけどSennheiserのHD620Sは構造から考えたら不自然なほどに遮音性が高い。パッドもハウジングもFT1の方が厚いのに。不思議。)

ただ、どうしてもパッドの厚さによる暑さの問題はある。個人的には重さよりも熱のこもりの方が長時間仕様の妨げになっているかな。

音質

合わせるヘッドホンアンプはFOSTEX HP-A8とSPL Phonitor SE。音源は基本MacからのUSB-DAC経由。

全体的な印象としてはふわっと柔らかめなとても聴きやすい出音。解像度が悪いとは全く感じないが、モニターチックな分析的な音というよりも、音のエッジが程よく丸く、音楽を全体像で捉えるリスニング向けな音作りで、音の心地よさという意味では手持ちのヘッドホンの中でも屈指。

純粋な音質だけで考えると、同価格帯の密閉帯で勝負になるモデルはそうそう無いのではないかと思わせるほど音が良い。

低音

FT1の最も特筆すべき部分。60mmの大口径ドライバーが効いた密閉型らしい厚みと量感のある低音で実体感もかなり高い。エレキベースのソリッドさも、アコースティックな低音の空間的な広さと柔らかさをどちらも十二分に描写できている。この低音のバランスの良さは、今まで聴いてきたヘッドホンの中でもベストかも。スタジオミックスからライブまで、どんな音源でも心地よく感じる低音を出せるのは本当に凄い。

中音・ボーカル

響は豊かで女性ボーカルでもキンキンした感じがなく、低音の豊かさとうまく噛み合っている。ただ聴き心地の良さの裏返しでフォーカスは少々甘く、ブレスの質感や歯擦音など、歌い手の口元を見るような聴き方には不向きでCD900STなんかとは正反対の音作り。どちらかといえばローが伸びる男性ボーカルの方が得意かな。

高音

すっと伸びてはいるけど、刺さらない程度に落ち着いたチューニング。このあたりの価格帯のヘッドホンにありがちな、低音にマスクされてるような伸びのなさが無いのが凄い。キラキラした華やかさを求めると物足りないかもしれないが、夜中にリラックスして聴く用途にはむしろちょうどいい。

全体としてはやはり低音の表現力が飛び抜けて素晴らしく、高音と中音がそれを邪魔しない絶妙なチューニングがこの音楽として聞いたときの心地よさを生んでいる。

どれか一つは優れていても他の要素がその良さを打ち消してしまうような機種も数多くあるなかで、3万円を切る価格帯では考えられないような優れた低音の表現力という長所を柱にして活かし切る音作りができているのは素晴らしい。

他のヘッドホンとの比較

特徴的な低音という点ではゼンハイザーのHD25やDT990PROなどが思い浮かぶが、いずれともキャラクターは全く異なる。

HD25、DT990PROはどちらもモニターヘッドホンとして、低音「だけ」を意識して聴くことができるが、FT1は良質な低音であることはわかるがそれが曲に混ざりあっているため、あえて低音だけを聴こうという気持ちにならず音楽を全体として捉えることができる。

そういう意味でもモニターではなく、かなりリスニング用途の強いヘッドホンと言えると思う。

製造ミス?

最後にちょっとした小ネタを。

付属していた脱着式のケーブル、ヘッドホン本体との接続プラグのR/L表記が両方ともRになっていた。

見た目上では左右の判別がつけられないため、実際に左右差のある曲(レッチリの”SNOW”のイントロ)を聞いて左右を判定することになった。そう頻繁に付け替えることはないので実用上それほど不便は無い。

音質も作りもトリプルスコアで価格以上な高コスパ期だったので、この程度の製造ミスはむしろ納得できてしまうな。

おしまい

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